タイヤとタイ

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タイヤは自動車の必需品ですよね。自動車にタイヤがなければ、単なる鉄の箱になってしまいますから。
それにしても、「タイヤ」なのか、「タイア」なのか。t ir e をどう訓むのか。これはどちらも同じくらい使われているみたいですが。
タイヤは、略語。「ニューマティック・タイヤ」を半分にして、「タイヤ」。「空気入りのゴム帯」の意味だったらしい。つまり「空気入り」というところがミソなんですね。
そもそもニューマティック・タイヤのはじまりは、1845年頃のこと。英國の、ロバート・ウイリアム・トンプソンによって、考案。ただしゴムではなくて、外側は革だったそうですが。
実用的なタイヤは、1887年のこと。アイルランドの医師、J・B・ダンロップが発明したという。

「門扉の外でタイアが砂利を撥きとばす音がすると…………………。」

宮本百合子著『乳房』には、「タイア」と書かれています。『乳房』は、1935年『中央公論』4月号に発表された短篇。「タイア」なのか、「タイヤ」なのか。
「タイヤ」が出てくるミステリに、『ミスティック・リバー』があります。デニス・ルヘインが、2001年に発表した物語。

「何かが左うしろのタイヤにどすんとぶつかった。」

純文学では「タイア」、ミステリでは「タイヤ」なんでしょうか。『ミスティック・リバー』には、こんな場面も出てきます。

「ホワイティはシャツの襟を立ててネクタイを首にまわし、結び始めた。」

彼は今、タイを結ぼうよしているところ。シャツの襟を立てて、タイを通し、結び、結び終わったなら、襟をもとに戻す。
もうひとつの方法は、襟を立てないで、タイを滑らせて、挟み込むやり方。まあ、タイアとタイヤのように、どちらでもよろしいのでしょうが。

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