ジョッキーと白ズボン

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ジョッキーは、騎手のことですよね。馬に乗り、馬を速く走らせるのが、専門の人。
でも、馬には乗らない騎手もあって、ディスク・ジョッキー。「ディスク・ジョッキー」は純然たるアメリカ英語で、レコード盤を馬に見立てて、ディスク・ジョッキー。1941に生まれた新語だったという。レコードをドライヴさせる人の意味だったのでしょう。今も昔もジョッキーは憧れの職業だったものと思われます。
ほんとうにジョッキーだったミステリ作家に、ディック・フランシスがいます。英国の騎手。本名は、リチャード・スタンレー・フランシス。1950年代に、英国皇太后の持ち馬の騎手だった人物。そんなこともあって、当時「フランシス」といえば知らぬ者のいないジョッキーだったのです。
1957年に、現役引退。その後は、競馬記者となっています。騎手から記者になったわけですね。そのフランシスが1962年に発表したのが、『本命』。
元騎手が競馬を背景にしたミステリを書いたのですから、話題に。面白くないはずがありません。たちまち、拍手喝采。『本命』の冒頭部分は。

「背後を、私と同じように白絹の乗馬ズボンに、まだら模様のジャージイを着た騎手が細長い一団となってくる。」

菊池 光 の名訳であります。
騎手が出てくる小説に、『アンナ・カレーニナ』があります、もちろん、トルストイの、長篇、傑作。

「彼の後から騎手姿の小柄な男が来た。」

騎手は小柄であるのが有利とされます。体重が軽いほど、馬に負担をかけなくてすむので。『アンナ・カレーニナ』には、こんな描写も出てきます。

「白いズボンに侍従職の制服を着て、ある将軍と並んで歩いている………………」。

これは、オブロンスキイという人物の様子。
せめて白いズボンを穿いて、レコードを探しに行くとしましょうか

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone