レイスとレザー・スーツ

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レイスはふつう、「紐結び」のことですね。ファッション用語には、レイスもあれば、レエスもあります。l ac e と書いて、「レイス」とも「レエス」とも訓みます。
l ac e のもともとの意味は、「紐」。一本の紐が時代とともに、「紐結び」であり、「レエス編み」の意味にもなったのでしょう。
たとえば、むかしの女の人のコルセット。あれはたいてい背中で紐結びになっていました。ですから、「レイス」。または「レイスドアップ」と呼んだものです。
まったく同じことが、靴紐にも言えます。「レイスド・シューズ」は、甲を紐で結ぶ式の靴を指すのです。あるいは、「レイスドアップ・シューズ」とも。
紐結びであるからには、多くは鳩目があります。あの鳩目のことを、「アイレット」 ey e l et と言います。たいていは一対ですから、「アイレッツ」となります。
鳩目は、一組、二組と数えるのです。これを、「ワン・アイレット」、「トゥ・アイレッツ」………………と呼ぶのです。ふつう、このアイレットの数が多いほどクラッシックなスタイルとされるのであります。
自分の履いている鳩目を数える場面の出てくる小説に、『ドン・ファン』があります。2004年に、ペーター・ハントケが発表した物語。

「飛行機の座席の列、自分の靴の紐穴の数、隣の乗客の眉の毛の一本一本。」

まあ、これは小説ですからね。それはともかく主人公がレイスド・シューズを履いているのは、間違いないでしょう。『ドン・ファン』にはまた、こんな描写も出てきます。

「古典的なバイクのカップルにふさわしく、二人は革のスーツを身に着けて
いた。黒。そしてヘルメット。」

『ドン・ファン』は、若い男女がバイクで旅する物語ですから、レザー・スーツが登場するのも、当然でしょう。
レイスド・シューズはよく履きます。でも、レザー・スーツはなかなか………………。

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