レッド・リーヴズとレッド・ヒール

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レッド・リーヴズは、小説の題ですよね。ウイリアム・フォークナーが、1931年に発表した短篇に、『レッド・リーヴズ」があります。日本語訳では、『赤い葉』となっているのですが。
ウイリアム・フォークナーの代表作は、『八月の光』でしょうか。いずれにしても、1949年に、「ノーベル文学賞」を受けています。
でも、長篇の一方で、多くの短篇をも書いています。その夥しい短篇群の中で、もっとも優れているのが、『赤い葉』だとする文藝評論家もいるほどです。
『赤い葉』は、ひと言で言って、ネイティヴ・アメリカンの物語。それも、チカソー族の。チカソー族の酋長の。フォークナーの表現では、「ザ・マン」ということになっています。
チカソー族のザ・マンに死に迫るところから物語がはじまります。「人生の死期」、「インディアンの死期」。だから、『レッド・リーヴズ』なんでしょうね。
当時のチカソー族の習慣では、酋長が死ぬと、彼に仕えた従者は殉死することになっていて。ところが従者の中には「まだ死にたくない」と思う者もいたりして。
『レッド・リーヴズ』とはいうものの、かなり重い命題なのです。殉死を名誉と考えるのか、どうなのか。たぶん、フォークナーが書きたかったのは、そのあたりなのでしょう。『赤い葉』の中に、こんな描写があります。

「さよう、あの人が首長さ。あの人はこれからずっと、赤い踵のついた靴をはくことができるんだよ」

その時代のチカソー族には、「レッド・ヒール」の慣例があったものと思われます。
ほぼ同じことは、フランス、ルイ十四世の時代にもありました。ルイ十四世が、「赤い踵」の宮廷靴を履いている絵が遺っています。レッド・ヒールは身分の象徴だったのは、間違いありません。
さて、レッド・ヒールで、紅葉見物に参りましょうか。

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