外套とカシミア

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外套は、オーヴァーコートのことですよね。今は主に、「オーヴァーコート」ですが、戦前までは多く「外套」と言ったものです。
「套」には、「包む」の意味があるという。上着の外から「包む」服なので、「外套」。これに似たものに、「手套」があります。手を包むもの。つまりは「手袋」を指す古い表現なのです。
外套はオーヴァーコート。もうこれで話は終っても良いのですが。世の中は複雑怪奇でありまして。
ロシアの作家、ゴーゴリに、『外套』と題する名短篇があります。『外套』は、ニコライ・ゴーゴリが、1841年に発表した物語。これは「外套」が主人公だと言っても間違いではありません。少なくとも物語中、重要な役割を果たす。
ある役人が「外套」をついに新調するところから物語が。ロシアの冬に外套は不可欠でしょう。「彼」の外套はそうとう草臥れていたので。
「彼」としても、その新調の外套が自慢でならなかった。その自慢の、新調の外套が盗まれて…………………。
結局、「悪いことは言ってはなりません」という教訓にもなっているのですが。
ゴーゴリの『外套』が出てくる小説に、『その名にちなんで』があります。2003年に、ジュンパ・ラヒリが発表した物語。

「「外套」はこれまでに何度読んだかわからない。ところどころ覚えていて、がっちり記憶に組み込まれている。」

これは物語の女主人公、アシマ・ガングリーのこと。おそらく作者、ジュンパ・ラヒリの分身かと思われます。この『外套』の話は、延々と語られるのですが。また、『その名にちなんで』には、こんな描写も。

「父はイーゼルにかがみ込み、くわえタバコで、黒いカシミアのショールを肩にはおっていた。」

ここでの「父」はもちろん、アシマのお父さん。
カシミアのショール。いいですね。カシミアもまた品質において、ピンからキリまで。カシミアほど階級ある素材も珍しいのではないでしょうか。
新調の外套に、上等のカシミアのマフラーを巻きたいものですね。

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