サエグサとサファリ

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サエグサは、人の名前にもありますよね。たいていは、「三枝」と書くことが多いようですが。
「銀座サエグサ」となれば、子供服の専門店。もし自分に子供がいたなら、ぜひとも着せたいような気品ある服がたくさん並んでいます。
「サエグサ」の歴史もまた、古くて。幕末に、今の築地あたりではじまっています。典型的な「唐物屋」であります。
横濱の商館で仕入れて、店に並べておく。その中に、太い、きれいな色の糸があって。でも、店主はその使い道が分からない。
ある時、客の異人が買ったので、訊いた。「いったい何にお使いになるので?」
「コレデ、アムノデスネ」
日本ではじめて「毛糸」を扱ったのは、今のサエグサの前身だったのですね。
そもそも、「三枝」という姓は、第二十三代 顕宗天皇の時代に、はじまるんだそうですね。
團伊玖磨の随筆、『霊芝草』に出ている話なんですが。

「天皇大いに喜ばれて、その発見者に、三枝部連の姓を賜った記録があると言う。」

その頃、宮中の庭に、珍しい植物が。もとは「幸草」で。「さいぐさ」から「さえぐさ」になったんだそうですね。
ほぼ同じ頃の團伊玖磨の随筆に、『盗人萩』があって。

「十日ばかり経って、サファリ・ルックは出来上がり、颯爽と一着に及んだのは良いのだが…………………。」

「どの靴を合わせようか」と、迷う場面。
このサファリ・ルックは、銀座の「メンズ・ウエア」で薦められたもの。
薦められたというよりも、「メンズ・ウエア」に置いてある洋雑誌に、サファリ・ルックが出ていたのに刺激されて。
「メンズ・ウエア」は今は、残念ながらありません。が、伊丹十三や、三島由紀夫が贔屓にした、進歩的なテイラーでありました。
一度、サファリ・ルックで、銀座を歩いてみたいものですね。

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