ダークとダンガリーズ

ダークは、「暗い」ことですよね。
「ダーク・スーツ」の言い方もあるように。
dark と書いて「ダーク」と訓みます。
ダークはまた、人の名前にもあるでしょう。
たとえば、「ダークダックス」だとか。「黒いアヒルたち」の意味なのでしょうか。
慶應大学出身者四人によるコーラス・グループ。
昭和二十六年の結成と言いますから、古い。ざっと五十年、歌い続けた計算になるのでしょうか。
「ダークダックス」については、『日本の美しい歌』に詳しく出ています。
著者は、喜早 哲(きそう・てつ)。
喜早 哲はダークダックスのメンバー。「ゲタさん」の本名。
喜早 哲は1930年11月8日、東京に生まれています。パートは、バリトン。
昭和二十四年に、慶應大学経済学部に入っています。
ダークダックスのメンバーは。「ゾウさん」こと、遠山 一(とうやま・はじめ)、佐々木道正。あだ名は「マンガさん」。高見沢宏のニックネームは、「バクさん」。
年齢は少しづつ違っていますが、慶應出身者という点では共通しています。
昭和二十五年頃。たまたま、NHKのラジオ放送で、歌って。これを聴いたのが、小島正雄。
小島正雄はこの歌が気にいって。「彼らを探せ」。
「ダークダックス」の名づけ親は、小島正雄。ダークダックスの育ての親も、小島正雄。
昭和三十四年に。ダークダックスははじめて当時のソ連へ。
この時、なにかと面倒みてくれたのが、岡田嘉子だったという。
ダークが出てくる小説に、『月と六ペンス』があります。英国の作家、サマセット・モオムが、1919年に発表した名作。
画家のゴーギャンをモデルにした物語であるのは、ご存じの通り。

「ダーク・ストルーヴは、では、明日の晩、僕を誘って、いつもストリックランドが行きつけのキャフェへ同行しようと言った。」

ここでの「ダーク・ストルーヴ」は、ゴーギャンの友人という設定になっています。また、「僕」とあるのは、モオムのこと。
小説の中ではゴーギャンは、「ストリックランド」の名前になっています。
また『月と六ペンス』には、こんな描写も出てきます。

「ダンガリーズボン一つで、帆船に働いている彼の姿を心に描いてみた。」

これはゴーギャンの息子を想い浮かべている場面。
「ダンガリーズボン」は、「ダンガリーズ」dungarees のことでしょうね。
その昔、インドボンベイ、ダングリ地区で織られていた綿布なので、その名前があります。
どなたか絹のダンガリーズを仕立てて頂けませんでしょうか。