初版本とアルスター

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初版本を蒐めるのが好き。そんな趣味の方もいらっしゃるんでしょうね。
初版本は、本の第一刷りのこと。初版が売れると、第二刷り、第三刷りと進むわけです。これを、「重版」と言います。重版は版元にとっても著者にとっても、嬉しいこと言うまでもありません。
一方、読み手としては、初版。それというのも、最初に読みたい。稀少である。初版ならではの間違いがあるかも知れない。それを見つけた。まあ、いろんな人がいるのでしょう。
校正の間違い、印刷の間違い。稀にあるんですね。それを第二版では、直す。初版では、間違いのあるままかも。
その理由はさておき。初版本蒐集家がいるのは、間違いない。昔、1,000円定価の本の初版本が、100,000円で出ていたり。
ミステリの初版本蒐集家でもあったのが、エラリイ・クイーン。およそ蒐められる限りの初版本を蒐めたんだそうですね。
エラリイ・クイーンはよく知られているように。フレデリック・ダネイと、マンフレッド・リーとの、合作ペンネーム。でも、その名前も筆名というのですから、手が込んでいます。ほんとうは、ダニエル・ネイサンと、マンフォード・レポフスキーとの共同執筆。
このうちの、ダニエル・ネイサンが初版本コレクタだったそうです。
エラリイ・クイーンは作家であり、また探偵役でもある、という設定になっているのは、ご存じの通り。

「重い黒のアルスター外套でからだをくるみ、ソフト帽の縁を、鼻眼鏡の冷たい光をさえぎるほど頭まぶかに引きさげ………」

これはNY、東六十番街を歩く、エラリイ・クイーンの姿。
アルスターはアイルランドのアルスター地方に縁のあるコート。アルスター ulster 。これがロンドンでも着られるようになったのは、1869年ころのことだそうですね。

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