ブガッティとブートニエール

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ブガッティは、車の名前ですよね。Bugtti 。もちろん今なお作られている自動車です。というよりも、あまりにも高価なことでも知られています。「ブガッティ・シロン」は、ざっと三億円ほどの値段になるんだとか。夢のまた夢というほか、ありませんが。
ブガッティはそもそも、1909年にはじまっています。エットーレ・ブガッティによって。場所は、アルザスのモールスハイムで。当時のアルザス地方は、ドイツ領だったのですが、今はフランス領。
エットーレ・ブガッティ自身は、1881年、イタリアのミラノに生まれています。お父さんのカルロ・ブガッティはその頃有名だった宝飾師だったという。お父さんはもちろんのこと、ブガッティ家には、濃い藝術家気質の血が流れていたのです。そんなわけで、エットーレ・ブガッティも、根っからの藝術家でありました。
その藝術家、エットーレ・ブガッティが興味を持ったのが、自動車だったのです。エットーレ・ブガッティは裏で留めるビスの形までも美しくなければ納得しなかったと伝えられています。
エットーレ・ブガッティが手がけた最高の車が、「ブガッティタイプ41 ロワイヤル」です。1920年代に六台が作られたという名車中の名車。これ1920年代当時で、12,763ccの排気量を持っていて、あまりに高価で三台しか売れなかったとも。その馬蹄形のラジエーター・グリルは、垂涎の的であったものです。
ブガッティが出てくる小説に、『叶えられた祈り』があります。トルーマン・カポーティが、1987年に発表した物語。と同時に、カポーティの人生における最後の小説でもあります。

「車の運転が好きで、キャンバス製の屋根をつけたエメラルド色のブガッティに乗ってよくブローニュの森に行ったり………………」。

これは「ミス・バーニー」という女性の様子なのですが。また、こんな描写も出てきます。

「ボタンの穴にスズランの小枝をさしこんだこの詩人はまるで歩くレーザー光線だった。」

「この詩人」とは、ジャン・コクトオのこと。
いつの日にか、カポーティはコクトオに会ったことがあるのでしょうね。「スズランの小枝」が、ブートニエールであるのは、言うまでもありません。
襟穴にブートニエールを挿して、ブガッティでドライヴ。これも、夢のまた夢ではありますが。

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