シードルと刺繍

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シードルは、りんご酒のことですよね。よくクレープに合わせて飲むのが、シードル。クレープはもともと北フランス、ノルマンディー辺りで発達したもので、同じくシードルも北フランスのものだから。
ノルマンディーは葡萄の栽培には向いていないので、りんごが多く作られる。そこでりんご酒が愛飲されたのでしょう。
シードルは、c idr e と書きます。これを英語風に訓んだのが、「サイダー」
サイダーはもともとりんご酒のことだのですね。
りんご酒は、古代ローマにもすでにあったらしい。紀元前55年に今の英國に攻め入ったシーザーは、りんご酒のあることを発見。その時代のケルト民族が、りんごを発酵させて酒を造っていたのです。それで、と言って良いのかどうか、シーザーはシードルを愛飲したと伝えられています。
ケルト民族がシードルを発明、とは言えないかも知れませんが、彼らが比較的はやくからりんご酒に親しんでいたのは、間違いないでしょう。
シードルが出てくる小説に、『アンドレアス』があります。ホフマンスタールが、1912年頃に書いた物語。

「主人が彼の正面からつと手をのばして、林檎酒のジョッキを取った。」

ホフマンスタールは、オーストリアの作家。でも、この物語の背景はヴェニスになっているのですが。1910年頃のヴェニスではシードルをジャッキで飲むこともあったもでしょう。また、『アンドレアス』にはこんな描写も出てきます。

「ぜいたくな刺繍の上着。花をつけたチョッキ。メダルをぶらさげた時計が、いつも二個。」

とにかく、靴のバックルが純銀というのですから、畏れ入ります。
純銀のバックルとまではいきませんが、一度、刺繍をあしらった上着、着てみたいものですね。

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