りんごとリネン・シャツ

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りんごは、美味しいものですよね。それに健康にもよろしくて。ほら、「りんごが赤くなると、医者が青くなる」、そんな言い方があるではありませんか。
りんごにも、たくさんの種類があります。そのなかには食べられるりんごも、食べられないりんごもあります。
食べられないりんごのひとつが、「アダムス・アップル」。喉仏。むかしむかし、そのまたむかし、楽園でアダムは禁断の果実を見つけて。急いで食べたせいか、真ん中の芯ところが喉に詰まって。それが今の喉仏になったんだとか。イヴはたぶん、お上品に食べたんでしょうね。
そんなわけで、男の子にあって女の子にないもの、それはアダムス・アップルなんです。
H・G・ウエルズの短篇に、『林檎』があります。列車の中で、偶然、二人の男が乗り合わせるところから、物語がはじまる。

「知恵の木の林檎だ。ほら ー 小さくて、つやつやして、すばらしい ー 知恵 ー これをきみにやろう」

紳士から林檎をもらったのは、ロンドン大学の学生、ヒンチクリフという設定。
この林檎は不思議な林檎。けっして萎びることのない林檎。「知恵の象徴」というのですから、「萎びることのない知恵」でもあるのでしょうか。
りんごが出てくる小説に、『ブロデックの報告書』があります。2007年に、フィリップ・クローデルが発表した物語。

「なかには芋のスープ、灰色のパン、半切りのハム、りんご数個、ポロ葱数本が入っていた。」

もちろん、朝食用なんですが。
また、『ブロデックの報告書』には、こんな描写も出てきます。

「着ているシャツはもともと白く、上等な亜麻の生地を使っていて、胸のところに撚り房の刺繍が施してあった。」

いいなあ。胸に刺繍のあるリネン・シャツ。
胸に刺繍あるリネン・シャツで、青空の下でりんごを食べたいものですね。

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