ズボンとスーツ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ズボンは、脚に着ける衣服のことですよね。ジャケットは、上着。ズボンは、「脚衣」。
ズボンはズボンで、今さら説明の必要もないほどに、身近かな日本語になっています。でも、どうしてズボンがズボンなのか、よく分かってはいないのです。

「縞フランネルの薄きをもつて仕立しジャケットに同じき色のヅボンをはき……………………。」

明治二十一年に、三宅花圃が書いた『藪の鶯』の一節です。とりあえず、「ズボン」は明治語でもあったと、いえるでしょう。
でも、日本語の「ズボン」は、いつ、どのようにはじまったのか、謎であります。
一説に、「フランス語のジュポンから出た言葉」ともいわれています。中世のフランスで、「ジュポン」 j up on が用いられたのは、事実のようです。ただし、それは上着だった。もう少し正確には、鎧下。むかし、鎧の下に、一種のクッションとして着た胴着を刺したらしい。
この「ジュポン」が時代とともに、幾変遷したものと思われます。ことに貴婦人の下穿きを、遠まわしに、「ジュポン」。この「下穿き」の婉曲語から「ズボン」が生まれた。まだしも、このように考えるのが、妥当かと思われるのですが。
ズボンといえば、ジャコメッテイのズボン。1966年に、アンリ・カルティエ=ブレッソンが、雨の日のジャコメッテイを写しています。頭からコートをかぶり、ズボンが濡れるがままの。
これはモンパルナスの、ジャコメッテイのアトリエのすぐ近くで写された一枚。まったくの偶然なのでしょうか、ジャコメッテイは完全にレンズの存在には気づいていません。
では、ブレッソンはいかにしてジャコメッテイと遭遇したのか。謎です。
このジャコメッテイの写真は、ジョン・ーバージャ著『見るということ』にも収められています。

「日曜や祭日に三つ揃いのダーク・スーツを着ていたのはそれほど昔のことではない。」

ジョン・ーバージャ著『見るということ』では、このように「スーツ論」が展開されています。ただし、私の頭には難しくて、さっぱり理解できないのですが。
とりあえず、トラウザーズにアイロンをかけるといたしましょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone