バナナと芭蕉布

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バナナは、美味しいものですね。第一、いつでも、どこでも、簡単に食べられる良さがあります。

「其れはバナナの皮を食っているのである。」

植物の大家、牧野富太郎は、そんなふうに書いています。これは、『バナナは皮を食う』という随筆の中に。今は食の随筆集、『バナナは皮を食う』に、収められているのですが。
この随筆集には、堀口大學の『泉よ、どこから』も。若き日の堀口大學がニューヨークで、フレッシュ・クラムを食う話。その時のワインが、「シャトオ・イケム」だったそうです。
『バナナは皮を食う』には、池田成彬の『うまいもの』も収録されています。
関東大震災の後。名人と謳われた「八百善」の、清次郎を、自宅の料理人として雇った話だとか。
この池田成彬のご子息が、池田 潔。その昔、慶應大学の教授だった人物。私のような素人にはどこが洒落者なのか、感じさせないほどの、卓越のダンディでありましたね。
バナナは、実芭蕉。糸芭蕉から得られるのが、芭蕉布。

「夏は特別何も着るものはないにしても、いまの時代には珍しい黄色い琉球の芭蕉布などに着換えて……………………。」

井上友一郎が、昭和二十四年に発表した『絶壁』にも、そのように出ています。
芭蕉布。これほど涼しい布は他にはありません。芭蕉布の着物を着て、バナナを食べるのは、夢物語なのでしょうか。

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