クロードとクリード

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クロードは、人の名前ですよね。ことにフランスには、多いみたいです。それも、男の子ばかりでなく、女の子にもあるらしい。
たとえば、画家の、クロード・モネ。あるいは、クロード・ド・ヴァロワ。このお方はアンリ二世の王女だったお方。
クロードで、音楽家となれば、クロード・ドビュッシーでしょうか。音楽とワインの関係はよく言われるところでしょう。
2016年刊行の、ジョン・パウエル著『ドビュッシーはワインを美味にするか?』は、興味深いものがあります。いくつかの実験で、音楽がワインの味わいを左右する結果を導き出しているもです。

「一番のワインは甘美でまろやかな口当たりと評価された…………………。」

もちろん、目隠しで、事前報告なく、ドブュッシーの『月の光』をさりげなく流しておいた。と、そのような評価になったという。
このあたりを手短かに申しますと、「ドビュッシーはワインを美味しくする」、そうも言えるでしょうか。
ドビュッシーはれっきとしたフランス人ですが、なぜかイギリスに興味を抱いていたらしい。

「ここしばらくの霧のふかい毎日は、私のおもいをロンドンにむかわせ、それからあのほれぼれするような戯曲『夏の夜の夢』へと、駆りたてた。」

ドビュッシー著『音楽論集』に、そのように書いています。このドブュッシーの英國好きは、シェイクスピア好きに端を発しているようですね。
ドビュッシーは娘の乳母には、イギリス人女性を雇ったという。ドビュッシーの『子供の領域』は、そんな環境から生まれているのでしょう。原題も、『チルドレンズ・コーナー』となっています。
クロードが出てくる小説に、『エトワール広場』があります。1968年に、パトリック・モディアノが発表した物語。

「私は部屋の左側の壁に掛かったクロード・ロランの『オリエントに船出するアリエノール・ダキテーヌ』に触れる。」

クロード・ロランは、フランス、十七世紀の画家。また、『エトワール広場』には、こんな描写も。

「読者はオローゼンかクリードで仕立てた控えめなスーツ、クラブストライプのネクタイと黒い絹のポケットチーフを着用のこと。」

つまりなかなか「難しい」本なのです。
クリード Cr e ed はもともとは倫敦のテイラー。その巴里支店が「タイユール」を手がけて、成功。つまり、女の服も、男の服も仕立てた店です。
なにか佳い仕立てのスーツで、ドビュッシーを聴きに行きたいものですね。

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