ホセとポワレ

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ホセは、わりあいと多い名前ですよね。ことに、スペインの人に少なくないようですが。
たとえば、ホセ・カレーラス。1946年、スペインに生まれた声楽家。ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシッド・ドミンゴと並ぶ、オペラ歌手であります。
名前のひとつに、ホセを含む人物が、ピカソ。画家のパブロ・ピカソ。ピカソの名前は、あまりに長い。その長い名前のひとつに、ホセが。
どうしてピカソの名前は長いのか。歴史上の聖人の名前をなるべく多く入れようとした結果なんだとか。
二十世紀のはじめ、ピカソの友だちだったひとりに、フレディがいます。フレディは、当時有名だった「ラパン・アジール」の経営者。もちろん今も「ラパン・アジール」はありますが。
ラパン・アジールのフレディは、ロバを飼っていて。その名前が、「ロロ」。この「ロロ」が絵描きだったという話があります。
フェルナンド・オリヴィエ著、益田義信訳の『ピカソと其の友達』に出ている話なのですが。キャンバスの前にロロを立たせて、尻尾に絵具をつけておくと、立派な前衛画になったという。
フレディがピカソの家に遊びにくる時。ロロを一緒に連れてくる。ピカソはまた、このロロが好きで、皆とともに食事もしたんだそうです。

「彼は裁縫で名を擧げた。否、名譽を獲得したといつて良いと思ふ。あの大憺さ、度量の廣さ、それから自分の技術に對する深い愛情を考へ合はせれば、當然のことといへよう。」

『ピカソと其の友達』には、そのように出ています。
ここに、「彼」とあるのが、ポオル・ポワレなのです。ポワレは、1879年の生まれ。ピカソは1881年の生まれ。三つ、ポワレが年長だったことになります。狭い巴里で、当然、出会っていたでしょう。
ポワレは、モオドを藝術だと考えていた人物です。モオドは藝術。これが正しいかどうかはさておき、いつの時代であっても、ひとりくらい「ポオル・ポワレ」がいても良いのではないでしょうか。

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