キュラソーとキャヴァルリイ・トゥイル

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キュラソーは、リキュールのひとつですよね。curaçaoと書いて、「キュラソー」と訓みます。カクテルを作るにも欠かせないものでしょう。
キュラソーは十七世紀のオランダではじまったと、考えられています。その時、キュラソー島のオレンジが材料として用いられたので、「キュラソー」と呼ばれるようになったんだそうですね。
キュラソーの銘柄に、フランスの「コアントロー」cointreau
があるのは、ご存じの通り。茶色の、四角い壜に入っています。ケーキを作るにも少しコアントローを加えますと、風味の引き立つものです。
フランスのコアントローは、エドマンド・コアントローが完成させたので、それが銘柄になったんだそうですが。

「………座蒲団から茶道具の用意、キーラソーの壜、何やら果物の罐詰など、客の来るのを今や遅しと待つて居る有様。」

明治三十六年に、小杉天外が発表した小説『魔風恋風』に、そのような一節が出てきます。
これは「恭一」が「お波」を部屋に招いた場面として。

苦悶そふ 歓楽のせて
キユラソオの 紅き帆ひびく

明治四十二年、北原白秋は、『邪宗門』と題する詩に、そのように詠んでいます。北原白秋もまた、明治末期にキュラソーに親しんでいたのでしょうか。

キュラソーが出てくるミステリに、『カリブ海の手がかり』があります。1929年に、T・S・ストリブリングが発表した物語。

「オランダ領西インド諸島、キュラソー。警視正カーレル・ハインシアス氏は、新たに入港したオランダ汽船フォーレンダム号の乗船名簿に座って目を通していた。」

この第一行から、『カリブ諸島の手がかり』は幕を開けるのです。また、『カリブ諸島の手がかり』には、こんな描写も出てきます。

「ポジオリはあわててベッドを出ると、狩猟ズボン、深いブーツ、それにごわごわしたツイードのコートを身につけた。
ここでの「ポジオリ」は、探偵役の人物になっています。
「狩猟ズボン」。もしかして、キャヴァルリイ・トゥイルの生地だったのではないでしょうか。
「キャヴァルリイ・トゥイル」cavalry twill は、深い綾織りの丈夫な生地のことです。その昔、騎兵のズボン地とされたので、その名前があります。
どなたかキャヴァルリイ・トゥイルでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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