豚足とトゥイード

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豚足は、美味しいものですよね。豚足と書いて、「とんそく」と訓みます。もともとは沖縄料理で、「テビチ
」と呼ばれていたものなんだそうですが。
テビチは古い時代に中国から齎された御祝の料理だったという。「チグマー」(豚足)をゆっくり煮上げた料理。この時、豚足を網脂で巻き、泡盛の水割りで煮るのが、コツなんだとから。
このテビチがお好きだったお方に、向田邦子がいます。

「このやわらかこと。プリンプリンしたにかわ質。噛む必要全くなし。舌の上で溶けて骨だけが残るやわらかさ。脂っぽいのに脂っぽくない。コクがあるのにあっさりした玄妙としか言いようのないうまさ。」

向田邦子の随筆『沖縄胃袋旅行』に、そのように書いてあります。
これは「辻町」の、「夕顔」という店でお召あがりになったテビチについての感想なのですが。

豚足が出てくる小説に、『酔郷にて』があります。作家の倉橋由美子が、昭和四十六年に発表した短篇。ギリシャ悲劇を下敷にした物語になっているのですが。

「食べるものとしては、豚足とか、ミミガアとか、豚の尻尾の煮込みなどもできるが、チャンプルが合う。」

これは物語の主人公がある地方都市で、泡盛を飲んでいる場面なんですね。それも年代物の貴重な泡盛を。
物語の主人公は大学教授という設定になっています。
また、倉橋由美子の『酔郷』には、こんな描写も出てきます。

「Y氏が洋服、着物をいずれも端正に着こなすのと同じように似合う。今日は極上物の格子柄のツィードをお召しである。」

これは主人公が先輩のY氏と料亭で会食する場面でのこと。
Y氏はいつも待合わせの時刻より早く着いて、涼しいお顔であらせられる。そのことと、着こなしとが、合っていると、説明しているわけですね。
トゥイード。極上物のトゥイード。たぶん昔の手織り生地なのでしょう。
どなたか手織りトゥイードのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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