レディとレグホン

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レディは、貴婦人のことですよね。「淑女」と訳されることもあります。もちろんlady と書いて、「レディ」と訓むのですが。
「レディース・エンド・ジェントルマンズ」というではありませんか。「淑女ならびに紳士諸君!」の呼びかけとして使われるわけですね。

英語に、「ダーク・レディ」というものがあります。これはシエクスピアの詩から生まれた言葉なんだそうです。
『ダーク・レディ・オブ・ザ・ソネット』。一言で申しますと、「ダーク・レディ」に捧げた愛の歌なのです。シェイクスピアはただダーク・レディと書いて、実名を明らかにはしていません。
そこで、世の「シェイクスピア研究者」は、ダーク・レディが誰であったのか。いろんな説を述べています。少なくともシェイクスピアとダーク・レディとの間に恋愛があったのは、間違いないようですね。

ある研究者は言う。「ダーク・レディ」とは、エミリア・ラニエのことである、と。
エミリア・ラニエは、ヴェニスの宮廷音楽家の娘として生まれ。1592年には、アルフォンソ・ラニエと結婚。アルフォンソ・ラニエもまた、宮廷音楽師だったという。
エミリア・ラニエは恋多き女性でもあって。当時のロード・チェンバレンとも仲良しであって。ロード・チェンバレンはその時代の宮内長官だったので、「レディ」と呼ばれるにふさわしいお方だったのだとされるわけですね。
でも、これは数多い「ダーク・レディ」伝説のひとつでありまして。真面目に「ダーク・レディ」の謎解きをはじめますと、日が暮れてしまうでしょう。

レディがお書きになった歴史書に、『エドワーディアンズ』があります。1930年に、ヴィタ・サックヴィル=ウエストが発表した時代物。
題名の通り、エドワーディアンを識るには、最適な本になっています。
ヴィタ・サックヴィル=ウエストは、1892年英国貴族の家柄に生まれていますから、「レディ」と呼んで間違いないでしょう。この中に。

「彼女はつば広のレグホン・ハットをかぶっていた。大きな帽子にはこんもりお薔薇が盛られ、青いビロードのリボン………」

これは「ローハンプトン卿夫人」の帽子について。
「レグホン・ハット」leghorn hat は、ストロー・ハットのことです。
英語の「レグホン」は、イタリアの地名「リボルノ」を指す言葉。当時、イタリア、リボルノ産の麦藁が白くて、上質とされたので、その名前があります。
どなたか現代版のレグホン・ハットを作って頂けませんでしょうか。

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