パディントンは、ロンドンの地名にもありますよね。
Paddington と書いて「パディントン」と訓みます。
パディントンは古い地名で、昔むかしアングロサクソンの族長「パダ」が住んでいたので、その名前があるという。
パディントンには主要駅もありますね。もちろん「パディントン駅」。
パディントン駅は、1838年の開通。ロンドンで三番目に古い駅なんだとか。
1842年6月13日。ウインザー城からお戻りになるヴィクトリア女王は、このパディントン駅で降りられたそうですね。
その後、1854年に、大改装。ガラス張りの駅ビルになっています。
英国の画家、ウイリアム・パウエル・フリスはこの新しいパディントン駅を題材に、大作を。『鉄道駅』がそれです。
このパディントンで生まれたお方に、ロバート・ベーデン・パウエルが。1857年2月22日に。
ロバート・ベーデン・パウエルが、今の「ボーイスカウト」の創設者であるのは、言うまでもないでしょう。
アガサ・クリスティーが1957年に発表したミステリに、『パディントン発4時50分』があるのは、ご存じの通り。
「三番線に到着の列車は四時五十分発、ブラックハンプトン、ミルチェスター、ウエイバートン、カービル・ジャンクションに停車いたします。そのあとはチャドマスまで各駅に停車いたします。」
これは駅構内での放送として。
アガサ・クリスティーは個人的にもよくパディントン駅を利用した。それで『パディントン発4時五十分』のミステリを思いついたのでしょう。
パディントン駅が出てくるミステリに、『ヨルガオ殺人事件』があります。
2020年に、英国の作家、アントニーホロヴィッツが発表した長篇。
「ドーリー・オン・ザ・ウォーターまでは、六時間の行程だった。正午にパディントン駅を出て、エクセターとバーンスタプルで、二度にわたって列車を乗りかえる。」
これは「ピュント」の旅の予定として。
また、『ヨルガオ殺人事件』には、こんな描写も出てきます。
「ポーリン・トレハーンは、クラッチバッグをテーブルの上、パナマ帽の隣に置いた。」
ここでの「ポーリン・トレハーン」は、ローレンス・トレハーンの妻という設定になっています。
パナマ帽。パナマ・ハット。いいですね。軽くて、風通しがよくて。
パナマ草の葉を細く細く裂いて、その繊維で手で編むので、パナマ。
その繊維が細ければ細いほど高級品。百万円のパナマもあるほどに。
パナマは主にエクアドルで編まれるものです。昔はその積み出しがパナマ港だったので、「パナマ・ハット」の名前で世界に広められたものです。
どなたか極上のパナマを編んで頂けませんでしょうか。