ボトルとボマー・ジャケット

ボトルは、壜のことですよね。
明治の頃には、「ボットル」とも言ったようです。
bottle と書いて「ボトル」と訓みます。
英語のボトルは、フランス語の「ブティス」
buttis と関係があるらしい。
これはもともと「樽」の意味だったという。
以前はワインもビールも樽に入っていましたからね。
ボトルのてっぺんには、王冠が。クラウンに似ているので、「王冠」。

「一升壜の王冠を本舗に送れば、抽選の上三十名に内野券をくれる筈なんだが、」

昭和八年に、獅子文六が発表した小説『浮世酒場』に、そんな一節が出てきます。
ここでの「内野券」が、野球の座席を指しているのは言うまでもないでしょう。
それはともかく、昭和のはじめの一升壜には、王冠が嵌められていたことが窺えるでしょう。
ビール壜には、今も王冠が健在ですね。
ビールの王冠を開ける時、栓抜で中央あたりを叩くことがありますね。
あれはなにかのおまじないなのでしょうか。
それともなにかの効果があるのでしょうか。
さあ。
ボトルは、おしゃれ語にもありまして。
たとえば、「ボトル・ネック」だとか。
ネクタイの結目辺りがごく自然に太くなっているもの。
結果としてやや豊かな結目に仕上がるわけであります。壜の首に似ているので、「ボトル・ネック」。
ボトルが出てくるミステリに、『凍てついた夜』があります。
1994年に、リンダ・ラ・グラントが発表した長篇。

「ルーニーは警部のデスクの上にボトルを置いてひょっこりと肩をすくめた。」

主人公の警部補、ロレイン・ペイジはアルコール依存症という設定になっているので。
また、『凍てついた夜』には、こんな描写も出てきます。

「黒いボマー・ジャケットを着て、脚にぴったりフィットしたテカテカに光る黒い半ズボンをはいた少年は、」

「ボマー・ジャケット」bomber jacket は、第二次大戦中の、飛行士の着た防寒着。
裏に毛皮が張ってあるので、上空でも保温性があったものです。
余談ですが「ボンバー」とは訓みません。
どなたか昔のボマー・ジャケットを再現して頂けませんでしょうか。