フレンチトーストとフェドーラ

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フレンチトーストは、美味しいものですよね。食パンのもうひとつの食べ方。少し固くなったくらいの食パンがあったら、ぜひ作ってみたいものです。
まず、溶き卵にたっぷりと浸けておく。充分に溶き卵が食パンに吸い込まれた時、フライパンで焼く。両面がキツネ色になったところで、完成。
その昔、二三日前の食パンをうまく食べる方法を考えた。それで、「フレンチトースト」。ここには、倹約の意味が込められています。倹約であろうとなかろうと、旨いのですから仕方ありません。
おしゃれの方でもフレンチはあります。たとえば、「フレンチ・スリーヴ」。身頃と一枚になった袖のことです。これもまた、倹約と何か関係があるのでしょうか。

「………次手にスパニッシュ・オムレツとフレンチ・トーストとトマト・ジュースという、習慣外れの(私にとっては)ガルガンチュワ的朝飯を部屋に取り寄せた。」

作家の中村真一郎が、昭和四十年に発表した『雲のゆき来』に、そのような一節が出てきます。いつもよりも空腹だったので。

フレンチトーストが出てくる小説に、『あの図書館の彼女たち』があります。2020年に、ジャネット・スケスリン・チャールズが発表した物語。

「フレンチ・キス。フレンチ・トースト。フレンチ・フライ。すてきなものは、みんなフレンチがつく。わたしの知る限り、フランスのインゲンマメはアメリカのものよりもおいしい。」

また、『あの図書館の彼女たち』には、こんな描写も出てきます。

「車ではなく、父が見えた。フェドーラ帽を目深にかぶり、片腕で女性を抱いている。

「フェドーラ」fedora
は、1882年のフランスにはじまっています。ヴィクトリアン・サルドーの演劇『フェドーラ』の女主人公がかぶっていた帽子のスタイルなのです。
カーヴの美しいソフト帽のこと。
どなたか1880年代のフェドーラを再現して頂けませんでしょうか。

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