雑誌と帆布

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

貴重な雑誌というのがありますよね。もう今では手に入らない雑誌。蒐集家にとっては百万でも二百万でも手に入れたい雑誌。
たとえば、『ミステリ・リーグ』。これは、幻の雑誌。夢の雑誌。たしかに存在したのは事実。でも、見たことのある人はごくわずか。
『ミステリ・リーグ』の創刊は、1933年。10月号として。創刊させたのは、エラリイ・クイーン。エラリイ・クイーンは、高級ミステリ雑誌を作ろうとしたのです。と同時に、まだ注目されていないが、質の高い筆者を揃えようともしたのでしょう。
1930年代はご存じパルプ・マガジンの全盛期で。エラリイ・クイーンとしては数多いパルプ・マガジンとは一線を画したかったものと思われます。それが、『ミステリ・リーグ』となって。
『ミステリ・リーグ』は、四号目までが出ています。つまり、1934年の1月号を最後に姿を消しています。また、発行部数も多くはなかった。いろんなことを考えて、「幻の雑誌」と言われるのも、当然でしょう。もし、今、『ミステリ・リーグ』の完全な姿を発見したら、金を見つけたも同然です。
『ミステリ・リーグ』創刊号に、『フーディーニの秘密』が掲載されています。これを書いたのは、当時、マジシャン・クラブの副会長だった、J・C・キャネル。
『フーディニの秘密』は、魔術師、ハリー・フーディーニの謎解きをする物語。フーディーニの得意技のひとつだったのが、「郵便袋からの脱出」。これについても、種明かしを。
ハリー・フーディーニが使ったのが、アメリカの郵便袋。その時代には郵便物をこの袋に入れて運んだんだそうです。もちろん丈夫なキャンヴァス地でありました。
キャンヴァス canvas は、もともと麻の平織り地。これはラテン語の「カナビス」cannabis から出ています。これは「ヘンプ」の意味だったのです。キャンヴァスの本来が麻布であったのは、事実。それが後にコットンでも織られるようになったものです。
日本での帆布は江戸時代にはじまっています。今の兵庫県、高砂の、松右衛門という人が日本製帆布を完成させています。
白い帆布のパンツで。雑誌を探しに行くとしましょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone