ブランデーとブーツ

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ブランデーは、美味しいものですね。ブランデーは白ワインが原料で、「濃縮白ワイン」と言ってもそれほど大きな間違いではないでしょう。
ブランデーもウイスキーと同じくらいで、42度前後。個人的好みではありますが。ウイスキーはオン・ザ・ロックか水割で。でも、ブランデーはなぜかストレイトで、不思議にオン・ザ・ロックや水割にしようという気持にはならなくて。
ブランデーは寝酒には最高でしょうね。ほんとうは病室で使うような、寝たまま飲める容器があって、ベッドでブランデー。飲んでるうちに朝がやって来る。それだとよろしいのですが。
ブランデーがお好きだったのが、「コーちゃん」。越路吹雪であります。高峰秀子著『コーちゃんと真夜中のブランデー』に、そのように出ています。
越路吹雪は、1924年2月18日の生まれ。高峰秀子は、1924年3月7日の生まれ。ほぼ同い年だったんですね。それだからか、大の仲良しだったという。
深夜に、高峰秀子の自宅の電話が鳴る。「もしもし、あたし…………。」それは、コーちゃんからの電話。「今から、そっちに行って、眠りたい」と。昭和二十年代の話なんでしょう。
越路吹雪は高峰秀子の家に来ると、「ネ、ブランデー、あるだろ。」これは『コーちゃんと真夜中のブランデー』の文章にある通りの引用なのですが。
ブランデーが出てくる小説に、『武器よさらば』があります。言うまでもなく、ヘミングウェイの名作。主人公の、「フレデリック・ヘンリー」はイタリア戦線に参戦しているのですが。飲むこと飲むこと、ブランデーを。これは「ブランデー小説」ではないかと、思われるほどに。

「おれはバッグを開けて、サンドイッチをふた切れ食べると、ブランデーを飲んだ。するとぐっと気分がよくなってきて、もうひと口飲んだ。」

もちろんブランデーのことばかりではなくて、こんな描写も。

「おれたちは革製品の店の前にいた。乗馬用のブーツ、リュックサック、スキー・ブーツなどがウインドーに並んでいる。」

これはイタリアの町を恋人と歩いているヘンリーの様子。
1920年代の、イタリアの革製品は優れていましたからね。1920年代の、イタリアのブーツを、ブランデーで磨くのも、また最高ですよね。

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