アイルランドとアイヴォリー

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アイルランドは、興味の尽きない国ですよね。イングランドに似て、イングランドではない。スコットランドに似て、スコットランドではない。むしろアイルランドはイングランドにもスコットランドにも影響を与えているふしさえあります。
たとえばスコットランドの誇るウイスキー。あのスコッチ・ウイスキーの源は、アイルランドである、との説もあるほどです。
そしてまた、アイルランドにはイングランドの血も流れていて。1649年。イングランドのクロムウエル軍がアイルランドに侵攻したのは、歴史的事実であります。この時、少なからぬイングランド兵は、アイルランドに残留。もちろん昔の戦には、そんなこともあったでしょう。
アイルランドも、イングランドも「徹底」がお好きなようですね。ひとつの例ですが。アラン・スェーター。ごく初期のアラン・スェーターは、一枚の板のようであったという。あまりにも、硬くて。これは毛糸を編む時、うんと力を込めて詰めれば、板のようにもなったでしょう。
また、北海の真冬、小舟で漁をするには、それくらい緻密な毛糸が必要でもあったのでしょう。「徹底」。
アイルランド人はまた、冗談好きでもあります。そんな冗談のひとつに。

イギリス人は実に、動物が好きだ。
でも、動物はアイルランド人が好きだ。

この冗談好きと関係があるのかどうか、文学の盛んな土地でもあります。それはジェイムズ・ジョイスの存在を想えば、充分でありましょう。

「フィーニーは、白い象牙ボタンの毛織りのシャツを着て………………。」

これは、アラン島出身の作家、オフラハティが、1924年に発表した『国外移住』の一節。

パトリック・フィーニーは、農夫という設定。「象牙ボタン」ということは、アイヴォリー・ボタンなのでしょう。もし、アイヴォリー・ボタンが手に入るなら、むしろカントリー・ジャケットに付けてみたいものです。
アイヴォリー・ボタンの上着を着て、アイルランドを旅してみたいものですが。

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