ブラームスとフランネル

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ブラームスは、説明するまでもなく、偉大なる作曲家ですよね。音楽のほうで、「三大B」といえば、バッハ、ベートーヴェン、そしてブラームスのことになるんだとか。
とにかく小説の題にもなるくらいですからね。
『ブラームスはお好き』。1959年に、フランソワーズ・サガンが発表した物語。これは文中の、「ブラームスはお好き?」という問いかけが、題名になっています。
ブラームスといえば、やはりクララ・シューマンを抜きには語れないでしょうね。クララもまた優れたピアニストでありました。もちろんシューマンの奥方。そのクララに想いをかけたのが、ブラームスだったのです。
それはともかく、クララは素晴らしい女のお方でもあったらしい。
1856年7月29日、ロベルト・シューマン死去。クララは哀しみの最中。それで、皆で、スイスに旅することに。ブラームスのお姉さん、エリーゼたちも誘って。そのエリーゼの旅支度に対するクララの気づかいが濃やかで。

「旅行用のショールはお持ちでしょうね。手袋はお買いにならないように。洗濯したのでもおかまいにならなければ、私のを差し上げます。」

1856年8月6日。クララはエリーゼのお母さんに宛てて、長い手紙を書いたいます。その中のほんの一行。手紙のほとんどは、エリーゼの旅の装いについて。「白いペチコートよりも、黒いペチコートのほうがよろしいですよ………………。」などともあります。ブラームスが懸想したのも無理ないことかも知れませんが。
ブラームスが出てくる小説に、『ファウストゥス博士』があります。もちろん、トオマス・マンの傑作。1947年の発表。

「それはブラームスにおいて、テーマ労作として、一層徹底的に一層包括的に行われる。」

また、『ファウストゥス博士』には、こんな描写も出てきます。

「エレガントな夏服、胴を細くした水色の縞のフランネルの服を着て、麻と黄色の革とで作った靴をはいていた。」

ひと時代前には、白や淡い色のフランネルは、夏服だったのですね。
一度、「胴を細くした」フランネルの服で、ブラームスを聴きに行きたいものですが。

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