イングランドとイヴニング

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イングランドは、英国のことですよね。これも難しく考えはじめると、キリがなくなってしまいそうですが。
イングランドを旅したイングランド人に、プリーストリーがいます。英国の作家、ジョン・ボイントン・プリーストリーのことです。
プリーストリーは、1933年にあらためてイングランドを旅しています。それで書いたのが、『イングランド紀行』。この中に。

「ウーステッドはブラッドフォードで行われた。」

と、書いています。ブラッドフォードの1801年の人口、約13、000人。これが1901年には、280、000人に。これは羊毛産業発展のために。
プリーストリーはどうして、ブラッドフォードに詳しいのか。プリーストリーは、1894号9月13日、ブラッドフォードに生まれているからなんですね。プリーストリーがブラッドフォードから倫敦に出たのは、1914年のことだったという。
その意味では『イングランド紀行』は、郷愁の旅でもあったのでしょう。
イングランドからはじまるミステリに、『木を見て森を見ず』があります。英国人、フィリップ・マクドナルドが、1920年代に発表した物語。

「イングランドの南西部、ダウンシア州フライズ・ウィック村一帯の地方が…………………。」

これが最初の一行なのです。「イングランドからはじまる物語」といって、間違いではないでしょう。『木を見て森を見ず』の中に、こんな描写も出てきます。

「八時に、ダフレスンさんのお宅にうかがうことになっているんですからね。ホワイト・タイよ。」

これは妻のルシアが、夫のアントニーに対していう言葉。 「ホワイト・タイ」がイヴニング・ドレスであるのは、いうまでもありません。
『木を見て森を見ず』には、ディナー・ジャケットも出てきます。1920年代のイングランドが、ホワイト・タイと、ブラック・タイの混雑期であったことが、よく分るミステリでもあります。
イングランドでの夜会に、イヴニングで行くのは、夢物語ですが。

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