シルクとジョドパーズ

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シルクは、絹のことですよね。シルク s ilk はラテン語の「セレス」から生まれているという。「セレス」は今のサージのことです。
古代ロオマもまた絹は中国から齎されています。言うまでもなく、「シルクロード」を通って。蚕から長く細い糸を得る方法は、紀元前六千年ころの中国で発見されたんだとか。
フランスでは絹を、「ソワ」s o i e 。これが「夕方」になると、「ソワール」 s o ir になるんですね。夜と絹は、なんか関係があるのでしょうか。フランスで「絹の生活」といえば、「裕かな暮らし」の意味にもなるんだそうですが。
ソワールが「ソワレ」 s o irée になると「夜会服」。女の人がソワの服に包まれる瞬間であります。一方、男はソワレにはランのシミージェを着ることになっているのです。正装用のシャツは、リネンということになっています。
男の場合、リネンのシャツはクラッシック。シルクのシャツはリッチの印象があります。ただし、ホワイト・タイに絹シャツはふさわしくありません。むしろ寛いだときにソワのシミージェは、優雅なものです。
シルクの魅力は、ドレープの美に尽きます。これに対してリネンは固く糊づけしたときの「張り」にあるのですから。
シルクが出てくるミステリに、『リトル・シスター』が。今では村上春樹の翻訳で読むことができます。

「白いシルクのシャツの襟が上着の外に出されていた。」

これは、ミス・ゴンザレスの着こなし。男仕立ての服を着ているわけです。『リトル・シスター』は、1949年に、チャンドラーが発表したハードボイルド。
この場面、マーロウはミス・ゴンザレスに誘われる。でも、マーロウははっきり断る。ハードボイルドを絵に描いたような名場面なんですね。『リトル・シスター』には、こんな描写も。

「チャイムが鳴り、ジョドパーズを履いた若い女がドアを開けた。」

ジョドパーズ j odhp urs は腿でふくらみ、脚で細くなったトラウザーズのことです。インド北西部、「ジョドプル」 J odhp ur で生まれたのでその名前があります。インドの、ジョドプルに駐留していた英国人将校が、乗馬ズボンとして考案したもの。
そういえば、シルクのジョドパーズなんかもいいですよね。

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