クラブ・サンドウイッチとクレリカル・カラー

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クラブ・サンドウイッチというのがありますよね。ほんとうは、クラブハウス・サンドウイッチなんでしょうが、少し長いのでクラブ・サンドウイッチと省略されることが多いようです。
サンドウイッチを大きく分けますと。焼かないパンを使うのと、焼いたパンを使う場合とがあります。たいていは焼かないパン。でも、クラブ・サンドウイッチは、あらかじめトーストしたパンで挟むのが特徴といって良いでしょう。
サンドウイッチそのものは、イギリス生まれ。でも、クラブハウス・サンドウイッチは、アメリカ生まれ。
1894年に。ニューヨークのカジノ「サラトガ・クラブ」ではじまったとの説があります。この説を信じるか否かはさておき。サンドウイッチはどこまでも、賭事と因縁があるみたいですね。
クラブ・サンドウイッチが新鮮だったのは、冷熱混合食だったこと。パンやベーコンには火が通っていて。レタス、トマト、チキンなどは、冷たい。つまりは冷熱混合チーム。しかも二枚に挟むのではなくて、三枚に挟む。二枚目ではなく、三枚目であるところも、私好みなのでしょう。
クラブ・サンドウイッチは中身にベーコンとかチキンとか。ワインなら、ロゼか。でも、やっぱりクラブ・サンドウイッチには美味しいビールがよく合います。クラブ・サンドウイッチが出てくる小説に、『あじさいの歌』が。1959年に、石坂洋次郎が発表した小説。後に、石原裕次郎主演で、映画化もされているのですが。

「じゃあ、ボーイさん。濃いスープとクラブ・サンドウィッチとコーヒーにして下さい」
これは料理店で、注文している場面。小説に描かれた「クラブ・サンドウイッチ」としては、比較的はやい例かと思われます。
ミステリでのサンドウイッチは。いや、サンドウイッチの登場しない英国製ミステリは、稀なほどなんですが。

「承知しました。茶とサンドウィッチを手配します」
「そうしてくれ、ジャック、長い夜になりそうだ」

これは、ジャック・ヒギンズ著『鷲は飛び立った』の一節。1991年の、英国製。また、『鷲は飛び立った』には、こんな描写も。

「ダーク・スーツ、聖職者用カラー、黒い帽子、レインコート………………」。

ここでの「聖職者用カラー」は、たぶん、「クレリカル・カラー」のことかと思われます。高く、白い、後ろで留める立襟。
もちろん、「ホワイト・カラー」とは別物。よく使われるクレリック・カラーは、純然たる和製英語なのです。
なにか立襟のシャツで、クラブ・サンドウイッチを食べに参りましょうか。

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