ボランジェとボマー

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ボランジェは、シャンパンのひとつですよね。「ボランジェ」、そもそものはじまりは、1585年なんだそうですから、古い。子々孫々、継がれて、今なおボランジェ家の所有となっています。年に、10万ケースを、醸造。これは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

「みなさん、危機と破滅のあいだでわれわれに残されたわずかな時間に、一杯のシャンパンを味わうのがよろしいでしょう。」

フランスの詩人、ポオル・クローデルは、そんなふうに言っています。シャンパンはどんな時でも、気分を明るくしてくれる飲み薬です。ことに、老化防止によろしい。毎日、シャンパンを飲んでいる者にボケはやって来ない。飲み薬ですから、多少お高いのも致しかたありません。
宮本百合子が、1927年5月に発表した随筆に、『三鞭酒』があります。昔はシャンパンに「三鞭酒」の文字を宛てたものです。これはたぶん、自分で自分に三度ほど鞭を当てたくらいにシャキッとするからなんでしょう。
『三鞭酒』の内容は。とあるレストランで、ひと組の西洋人がテーブルに着いている。それを脇で眺めて、どういうカップルであるかを、当ててみようと。宮本百合子は、「恋人同士」だと。
そのうちに冷えたシャンパンが運ばれて。さらには、男が女に、「アイ・ラヴ・ユウ」と囁くのが、聴こえてくる。
夫婦では男は「アイ・ラヴ・ユウ」とは言わないからね、というのがオチになっています。
それはともかく、ボランジェが出てくるミステリに、『虎の潜む峯』があります。1996年に、ジャック・ヒギンズが発表した物語。

「バーテンダーがボーランジェのRDのシャンパンを一歩持ってきて栓を抜き、注ぐあいだに、古い銀のシガレット・ケースをあけて煙草をつけた。」

時代背景は、1995年のロンドンになっています。また、『虎の潜む嶺』には、こんな描写も。

「ボマー・ジャケットにジーンズの凶暴なけだものだった。」

主人公の、ポール・シャヴァスが悪漢に襲われる場面。ただし、ポール・シャヴァスは、英国情報部の局長で、難なく相手をやっつけるのですが。
ボマー・ジャケットは、もともと第二次大戦中の、爆撃兵が着た毛皮裏の革ジャンパー。
ボマー・ジャケットをうんと上品に着こなしたなら、シャンパンも飲みに行けるかも知れませんよ。

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