古い金貨とフロック・コート

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古い金貨を蒐めるのが趣味というお方もいらっしゃるんでしょうね。今の時代に、古い金貨が遺っているだけども、貴重というものでしょう。
これはひとつには、金の含有率とも関係があるのに、違いありません。むかしの金貨には、24金なんてものもあったようですからね。
古い金貨を蒐めるのがお好きな人もいれば、古い金貨を聴くのがお好きなお方も。もう少し正確に言いますと。『古い金貨と古い鎧』。かのエリック・サティが、1913年に作曲した不思議なピアノ曲。
『古い金貨と古い鎧』が、異国情緒にあふれる曲です。ただし、『古い金貨と古い鎧』は、おしまいのところに問題があります。最後の部分は、「シャルル十世の戴冠式」と題されているのですが。この最後の旋律を、「267回弾きなさい」と、指示されているのです。これはピアニストにとっては「嫌がらせ」以外のなにものでもないでしょう。もっともサティは、それ以前にも、『ヴェクサシオン』 ( 嫌がらせ ) という曲を発表していますからね。
エリック・サティは、フランス、オンフルールの生まれ。同じくオンフルールに生まれたのが、レニエ。作家のアンリ・ド・レニエ。レニエもサティに負けず劣らず。奇人でありましたが。
アンリ・ド・レニエが、1905年に発表したのが、『生きている過去』。この中に。

「彼はめかしこみ、薄色のフロックコートに白のゲートルをつけ、灰色の帽子といういでたちだった。」

彼とは、ブローという名の紳士。
一度、フロック・コートを着て。『古い金貨と古い鎧』を聴きに行きたいものですね。

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