チェリーは、さくらんぼのことですよね。
cherry と書いて「チェリー」と訓みます。
チェリーは1300年頃から用いられている英語なんだそうですが。
英語のチェリーは、ラテン語の「チェラスス」cerasus と関係ある言葉なんだとか。意味は「桜の木」であったという。
さくらんぼはまた、「桜桃」とも呼ばれることご存じの通り。
たとえば、「桜桃忌」だとか。
毎年の六月十九日は、太宰 治の命日。
太宰 治の晩年の小説『桜桃』に因んでのこと。
さくらんぼの品種では「佐藤錦」がよく識られていますね。
山形産の見事なさくらんぼ。
山形の、佐藤栄助が品種改良に成功したので、その名前があります。
大正三年から、販売されている品種です。
シャンソンにもさくらんぼが出てきます。
「さくらんぼの実る頃」。今ではすっかりスタンダード・ナンバーになっていること言うまでもありません。
1866年の作詞といいますから、古い歌なんですね。
さくらんぼが出てくる伝記に、『或る戦後』があります。
もちろん、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの半自叙伝。
「今朝私が街角で新聞を読んでいた時、ふたりの屋台の八百屋が ー 彼らはさくらんぼを売っていた、」
1958年6月5日、火曜日の「日記」に、そのように書いてあります。
これは想像ですが。ボーヴォワールは「さくらんぼ」を歌ったこともあるし、さくらんぼを食べたこともあるのでしょう。
また『或る戦後』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。
「彼は黒い鼈甲ぶちの眼鏡をかけ、大実業家みたいなオーバーを着てやってきた。」
これは「スーステル」という紳士について。
「大実業家みたいなオーバー」。私はここからすぐに、
チェスターフィールド・コオトを連想したのですが。
チェスターフィールド・コオトは、十九世紀後半の英国で生まれた外套。
前ボタンが比翼になっているのが、特徴。まるで上着をそのまま外套にした形になっています。
どなたか純白のヴァイキュウナのチェスターフィールド・コオトを仕立てて頂けませんでしょうか。