キャベツとキャスケット

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キャベツは、シューのことですよね。英語だと「キャベッジ」、フランス語だと「シュー」。シュウ・ア・ラ・クレエムのシュウであります。皮のところがカサカサしている様子がキャベツに似ているので、「シュウ・ア・ラ・クレエム」。
昔、お見合いの席で出すことがなかったのが、シュウクリイム。だった上品に食べること、難しいではありませんか。
イギリス英語の「キャベッジ」には、テイラーの隠語があって。「端切れ」。もっとも今は使いませんが。昔の洋服屋が「キャベッジ」と言ったなら、余禄の「あまり布」の意味になったそうです。
キャベツの歴史も古いらしくて。少なくとも古代ギリシャにも。ただし、「ラパノス」の名前で。古代ギリシャの宴には、まず最初にラパノスの皿が。これは当時の考えで、悪酔い防止。はじめにラパノスを食べておくと、宿酔いにならないと。
キャベツがお好きだったのが、子規。正岡子規。

「したし物にキャベツはあるまいか、いつかのようにゆでたやつを牛の油で煮ると非常にうまいが………………」。

正岡子規著『明治三十三年十月十五日記事』に、そのように出ています。
これは子規と子規のお母さんとの、会話。次の日に、高濱虚子などの客がくるので、何を出そうかと、二人で相談している場面。子規の家では「八百徳」で野菜を買うのだが、キャベツはあまり見かけない、とも書いています。
キャベツが出てくる小説に、『パリの秘密』があります。1843年に、ウジェーヌ・シューが発表した長篇。つまりシューがシューのことを書いているわけですね。

「よく世間でいうように、キャベツの葉っぱの下で生まれたんだって」

これは「歌坊」と呼ばれる女の子の科白。まあ、「こうのとりが運んで来た」の類いなのでしょう。
『パリの秘密』の作者、ウジェーヌ・シューもまた、たいへん洒落者であった人物。また、(パリの秘密』には。

「それは頑丈なすばしっこそうな中年男で、上衣を着てハンチングをかぶり、こういう店にも馴れているらしく………………」。

新しく居酒屋に入って来た客の様子。ここでの「ハンチング」は、おそらく「キャスケット」のことでしょう。パリでの「キャスケット」はよく使われる言葉です。日本語の、「鳥打帽」に近いもの。
さて、キャスケットをかぶって、ザワークラウトを食べに行くとしましょうか。

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