リーヴァイズとリネン・シャツ

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リーヴァイズは、ジーンズのことですよね。むかしの日本では多く、「ジーパン」と呼んだものです。
ジーパンは、「Gパン」とも書きました。この「G」がG I のことだろうとは察しがつきます。でも後半分の「パン」がなにのパンなのか、定かではありません。
アメリカで、「ジーンズ」 j e ans の言葉が広く用いられるようになったのは、わりあい最近のこと。少なくとも戦前までは、「リーヴァイズ」 L e v i‘s と呼ばれることが多かった。創業者とされる、リーヴァイ・ストラウスに敬意を評して、「リーヴァイズ」。仮にリーヴァイズ以外のジーンズでも、「リーヴァイズ」と称されることもあったほどです。
戦後の国でリーヴァイズに強い関心を持ったのが、ドイツとイタリア。これは決定的な戦敗国であったことと無縁ではないでしょう。少し遅れて、日本も。
ドイツではリーヴァイズの秘密を探るのに、駐独のベースに夜間しのび込んで、ドイツの酒一本と、中古ジーンズ一本とを交換したほどであります。

「男は黒いオープンシャツの袖をまくり、空色のジーパンをはいて、素足にゴム草履をはいていた。それがズボンのボタンをはめながら車の方へ戻るところまでみて……………………。」

三浦哲郎が、1967年に発表した『結婚』の一節。
「ボタンを………………」おあるのは、むかしふうの、フロント・ボタン型のジーンズだったのでしょう。
三浦哲郎は、1961年に『忍ぶ川』で、芥川賞。その後、スランプで、郷里の青森へ。この時、何度も三浦哲郎に手紙を送って、「書きなさい」。それが新潮社の編集者、「菅原」だったという。
リーヴァイズが出てくる小説に、『人生は短く、欲望は果てしなし』があります。フランスのパトリック・ライペルが、2010年に発表した物語。

「 ー どう見ても生まれつきのキス魔だ ー 彼女が履いているリーバイスのジーンズと白いバスケットシューズを褒める。」

これは男のルイが、女のノーラに対する感想。
パリは世界一、キスが似合う町です。パリの街を歩く男女は「キスすべし」の法律があるのではないかと、思えてくるほどです。
また、『人生は短く、欲望は果てなし』には、こんな描写も。

「ノーラにいたってはヒューゴ・ボスのリネンのシャツを、それを着るときは必ず彼女よ一緒いてどれほど幸せだったかを思い出すと誓うことを条件に彼にプレゼントする。」

うーむ。
十九世紀、英國紳士のシャツは、季節に関係なく、リネン。中流階級は、コットン。そんな違いがあったものです。
フロント・ボタンのリーヴァイズに、麻のシャツを合わせたいものですね。

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