ジャーミンとジャスティン

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ジャーミンで、ロンドンでといえば、ジャーミン・ストリートでしょうか。ジャーミン・ストリートは、紳士用品のメッカということになっています。
ご婦人方が、パリのフォーブル・サントノーレを素通りできないように。洒落者の紳士は、ジャーミン・ストリートをかけ足では通り抜けできないようですね。
このジャーミン・ストリートからほど近いところにあるのが、「フォートナム&メイソン」。高級総合食品店。マアマレエドを買うには「フォートナム&メイソン」に限る、と決めているロンドンっ子も少なくないようですね。
「フォートナム&メイソン」は、1707年のはじまりといいますから、古い。ウイリアム・フォートナムと、ヒュウ・メイスンとが共同で開いた店。巴里なら、「フォション」にも近い名店でしょうか。
では、それ以前、ウイリアム・フォートナムはなにをしていたのか。
アン女王の馬丁。アン王女は愛すべき女王で、ブランデーがたいそうお好きだった。そこでついた仇名が、「ブランデー・ナン」。
でも、アン女王はブランデーばかり飲んでいたわけでなく、乗馬もお得意でありまして。ある日、ある時、アン女王、馬を走らせておりますと。それはそれは素晴らしい空間を発見。
「ここは、ぜひ競馬場にするべきだ」
こうして生まれたのが、今日の「アスコット競馬場」なんですね。
アン女王の命によりはじまったので、今も誇り高き競馬場とされるわけです。1711年のことであります。つまり「フォートナム&メイソ」は、「アスコット競馬場」よりも歴史が古いことになります。
ジャーミン・ストリートが出てくるミステリに、『チャーリー・モルデカイ』があります。1991年に、イギリスの、キリル・ボンフィリオリが発表した物語。

「フォートナム・アンド・メイソンを通りぬけ、ジャーミン・ストリートを出てすぐのジュールズ・バーにほっこり収まり…………………。」

もちろん、主役の、チャーリーの様子なのですが。また、『チャーリー・モルデカイ』には、こんな描写も。

「驚くべきジャスティンのブーツは、それ自体がさらにアンティークの銀のスペインの鐙を履き、どうやら黄金で作られたケリーの拍車で仕上げられている。」

「ジャスティン」 J ust in はアメリカの、カウボーイ・ブーツの銘柄。
1879年の創業とのこと。
ジャスティンのブーツで、アスコット競馬場に行くことは果たして可能なのでしょうか。

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