ダマスクと玉虫色

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ダマスクは、よくテーブル・クロスなどに使われますよね。あるいは、ナプキンにも。レストランには、欠かせないものでしょう。
ジャカード織のひとつとも言えますね。たいていは白で、白なんですが、織紋様が浮かび上がってくるものです。
ダマスクのナプキンを見ると、さらに食欲がわいてくる。これも食通の特性なのかも知れませんね。
ダマスクは、シリアのダマスカスから来ているとのこと。ダマスカスでは、十二世紀の頃には織られていたという。ダマスカスの町でこの凝った布地に出会ったのが、マルコ・ポーロで。それをヨオロッパにもたらしたのも、マルコ・ポーロだと考えられています。
「生地辞典」で、「ダマスク」を調べると、その隣に出ているのが、「玉虫色」であります。玉虫色は、日本語。英語では、「イリデッセント」。フランス語では、「イリデサン」でしょうか。
縦横の織糸をはっきりと変えて織ると、「玉虫色」があらわれます。美しいものです。

「肌には黄鬱金のひつかへし、中には玉虫色のりんず、上には福嶋絹を空色にして………………」。

貞享元年に、井原西鶴が発表した『好色二代男』に、そのように出ています。文中、「りんず」とあるのが、「綸子」であるのはいうまでもないでしょう。
貞享元年は、西暦の1684年のことですから、日本の「玉虫色」も古くからあったものと思われます。
江戸の言葉に、「玉虫を拾ふ」というのがあったらしい。これは実際には乙女が羞らいを見せている様子の形容だったとか。また、ほんとうに、白粉入れの中に玉虫を入れておくと、幸運が訪れるという迷信があった、とも。
ダマスクで、玉虫色なんて生地はないでしょうが。

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