クワスとクーテ

クワスは、東欧のビールですよね。
ビールに似た清涼飲料水。そう言った方が、より正確でしょうか。
アルコオル度数2%足らず。
クワスの原料は大麦と麦芽。その意味ではたしかにビールの一種とも言えるでしょうね。
クワスをよく飲むのは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなど。
これらの国々では、清涼飲料水の範囲になっています。
まあ、東欧のジュースと言っても間違いではありません。
ベラルーシはロシアに近い国。今では「ベラルーシ共和国」。首都はミンクス。
ベラルーシの人口はざっと950万人。通貨は「ベラルーシ・ルーブル」。
1991年にロシアから独立した若い国です。
1989年にベラルーシに旅した女優に、岸 惠子がいます。
岸 惠子の随筆集に『ベラルーシの林檎』があるのは、そのためなのでしょう。

「所持金申告書に書き込みをしていると、隣のコンパートメントから、リンゴのおばさんがさようならを言いに来てくれた。」

これはワルシャワからベラルーシまでの長い列車で出会った女性について。
コンパートメントの中でりんごの皮をむいていたので、「りんごのおばさん」なんでしょう。
ベラルーシに生まれた画家に、シャガールがいます。もちろん、マルク・シャガール。
マルク・シャガールは、1887年7月7日に、ロシアの
ヴィラブスクに生まれているのですが。
現在の地名では、ベラルーシになっているからなんですね。
シャガールは幼い頃からクワスを飲んでいたのでしょうか。
クワスが出ている小説に、『ロマン』があります。
1994年にロシアの作家、ウラジミール・ソローキンが発表した長篇。

「あの親切なマリヤが大きな白いジョッキで振る舞ってくれる冷たい自家製のクワスを飲んだものだった。」

これは物語の主人公「ロマン」の想い出として。
また、『ロマン』にはこんな描写も出てきます。

「オランダ製のハンカチーフ、下着類、ネクタイ、ズック地のズボン、パナマ帽、」

これはロマンの持物の一部なのです。
ここでの「ズック地」は、フランス語なら、「クーテ」
coutil のことでしょうか。
どなたか純白のクーテのパンタロンを仕立てて頂けませんでしょうか。