オルゴールとオーヴァー

オルゴールは、自鳴琴のことですよね。
昔の日本ではオルゴールを「自鳴琴」と言ったんだそうですね。
オルゴールが日本に伝えられたのは、嘉永五年のこと。
西暦の1852年4月に。オランダ人が船で運んで来たという。
小さな箱を開けてみると、音楽が。驚いたでしょうね。
日本人が異人に、「これは何か? 」と問うと。異人はドイツ語で答えた。
「オルゲル」orgel 。
このオルゲルから日本語の「オルゴール」が生まれたという。
1860年頃。小林伝四郞という時計師が、日本の民謡を奏でるオルゴールを作ったとの説があります。
オルゴールそもそものはじまりは。1769年のスイスだと考えられています。
アントワーヌ・ファーブルという時計職人が、懐中時計の中に組込んだオルゴールがはじめてのものだったそうですね。
大佛次郎の随筆に、子供の頃の横濱での体験が出ています。

「私を驚かしたのは、厚い表紙をあけると、音楽が鳴り出す写真のアルバムがあったことである。私がオルゴールという不思議なものに出会った最初であった。」

明治末期のことでもあったのでしょうか。
昭和二十九年に、中里恒子が書いた小説に、『オルゴールの歌』があります。

「三吉が、オルゴールつきのスタンドを使う気でいるのが、なぜかたわむれのように感じられた。」

ここでのオルゴールはスタンド・ライトに仕込まれていたのでしょう。
中里恒子が昭和三十一年に発表した短篇ぬ、『菊枕』があります。この『菊枕』を読んでおりますと。

「彼は、あわてて、オーヴァを着なおした、」

これは若い社員の様子として。
中里恒子は、「オーヴァ」と書いてあるのですが。
もちろん「外套」の意味であるのは言うまでもないでしょう。
「オーヴァー」は、日本語。
英語なら、「オーヴァー・コート」。
コート、つまり上着の上に重ねる服装なので、「オーヴァー・コート」になるわけです。
どなたかヴァイキューナのオーヴァー・コートを仕立てて頂けませんでしょうか。