ゴールドとゴサマー

ゴールドは、黄金のことですよね。金のこと。
「雄弁は銀。沈黙は金。」の言葉があるのは、ご存じの通り。
また、「ゴールデン・フリース」の伝説もあります。
もともとはギリシア神話に出てくる、黄金の羊。
プリクソスという若者が、海を越えて、黄金の羊を連れ帰ったとの話がもとになっています。
中世のオーストリアには、「金羊毛勲爵士団」が実在したという。

「われわれは英雄ジェースンだ。みごとな金の羊を手に入れたぞ。」

シェイクスピアが、1596年頃に書いた『ヴェニスの商人』に、そんな科白が出てきます。

「光るものすべてが金ではない。」

この言葉もまた、『ヴェニスの商人』に出てくるのは、ご存じの通り。
その昔、「ザ・ゴールデン・ハインド」という帆船があって。これを巧みに走らせたのが、英国のフランシス・ドレイク。
この船、もともとは「ペリカン号」だったのですが。1587年になって、フランシス・ドレイクが、「ゴールデン・ハインド号」と変えたもの。
マゼラン海峡近くの、サン・フリアン港で。
フランシス・ドレイクが、1577年から1580年にかけて、世界一周したったのが、「ゴールデン・ハインド」だったのですね。
1579年に、フランシス・ドレイクは今のサンフランシスコを発見。それで地名を、「ニュウ・アルビオン」
(新英国の意味)と命名。銅板に、その名前を刻んだと、伝えられています。
そんなこともありまして。1581年には、エリザベス女王から「サー」の称号を受けています。1581年4月一日、ゴールデン・ハインド号の甲板で。
今に、サー・フランシス・ドレイクと呼ばれるのは、そのためなのですね。
黄金色が出てくる小説に、『ライフ・アフター・ライフ
』があります。2013年に、ケイト・アトキンソンが発表した物語。

「お天道様にキスされて肌がすっかり黄金色じゃないか ー 心地良い眠りに引きこまれながらシルヴィアはヒューの言った言葉を思った。

ここでの黄金色は、原文では、「ゴールデン」になっているのですが。
また、『ライフ・アフター・ライフ』には、こんな描写も出てきます。

「夜はやがて繊細な織物へと変じた。」

ここでの「繊細な織物」は、「ゴサマー」gossamer のこと。
「ゴサマー」は、1300年頃からの英語。
日本でいう「紗」に似た薄絹のこと。
昔、英国で、「ゴサマー」という商標のシルク・ハットがあったそうですが。うんと軽いトップ・ハットだったのでしょう。
どなたかゴサマーでシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。