ポールは、男の子の名前にもありますよね。たとえば、ポール・マッカートニーだとか。ポール・セザンヌだとか、ポール・ゴーギャンだとか。
1919年に、モオムが書いた小説に、『月と六ペンス』があります。この『月と六ペンス』が、ゴーギャンを主人公にしているのは、よく識られているところでしょう。
『月と六ペンス』は、理想と現実との比喩なんだそうですが。当時、『月と六ペンス』は、よく読まれたらしい。アメリカだけで、10万部売れたそうですから。
でも、なぜ、モオムはゴーギャンを書こうと思ったのか。
それはモオムの1903年頃に遡るんだとか。1903年頃のモオムは、パリのモンマルトルで、ボヘミアン生活を
送っていたとのことです。その時、ポール・セザンヌの絵に魅せられた。後にモオムは印象派絵画の収集も行っています。
一方、人間の生き方としては、ゴーギャンに惹かれたとのことです。「いつか、ゴーギャンを書いてみたい」。そんなふうに思ったらしい。
「いつか」がやって来たのは、1918年のこと。1910年代に、英国秘密諜報部員として活躍した結果、胸の病に。で、スイスの病院で静養。その静養中に書いたのが、『月と六ペンス』だったというのです。
ゴーギャンといえば、ゴッホを思う人もいらっしゃるでしょう。ゴーギャンをアルルに呼び寄せたのは、ゴッホなのですから。
1888年10月23日、ゴーギャンはアルルに着いています。1888年に、ゴッホはこんなことを言っています。
「ぼくは何よりもまず、永遠のブッダを敬慕する。」
実はこれ、ゴーギャンのことを指しての言葉だったのですが。
1888年に、ゴッホは一枚の自画像を描いています。この自画像は、ゴーギャンに捧げられているのです。
1888年の『自画像』をよく見ると、ゴッホは縁取りのある上着を着ています。茶にも見えるビロードふうの上着に、青いサテンで、縁取りがされているのです。
縁取り。フランスなら、「ボルデュール」bordure でしょうか。
どなたかボルデュールのある上着を仕立てて頂けませんでしょうか。