クロック・ムッシュとクラヴァット

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クロック・ムッシュは、美味しいものですよね。クロック・ムッシュの名前からも想像できるように、フランス生まれのサンドイッチ。
フランス生まれのサンドイッチなんですが、イギリス風の四角い食パンを使うところが、洒落でもあるのでしょう。「上に載せるジャンボンとフロマージュはうちのほうが上だよ」と言っているみたいではありませんか。実際、パリで食べるクロック・ムッシュは、それはそれは………………。
でも、どうして「クロック・ムッシュ」なのか。ひと言で申しますと、「パリパリ屋さん」ということ。クロック・ムッシュは焼いてあるので、男が大胆に食べる、パリパリ音がする。で、「クロック・ムッシュ」。つまり「クロック」は擬音からきているのでしょう。
クロック・ムッシュは、1900年頃のフランスのカフェで生まれたと、考えられています。が、これを小説の中に登場させたのは、プルーストであるらしい。マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の中に。

「夫人は、私たちのためにホテルで「クロック・ムッシュー」とウフ・ア・ラ・クレームを注文してあると言った。」

この一行こそ、小説にあらわれた「クロック・ムッシュ」のはじめとの説があります。
著者の、マルセル・プルーストは、最後までクラヴァットを愛した人物でもあります。
マルセル・プルーストは、1922年11月18日。五十一歳で、世を去っています。1920年代にはもうネクタイは一般的になっていました。が、プルーストはアスコット風のクラヴァットを巻くのがお好きだったようですね。
一度、アスコット・クラヴァットで、クロック・ムッシュに向かってみたいものでありますが。

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