マトンとマッキノー

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マトンは、美味しいものですよね。たとえば、ジンギスカン鍋。あれはたいてい、マトンを使うことが多いようです。
それにしても「マトン」なのか「ムートン」なのか。日本ではマトンは食べるほう、ムートンは着るほうという感じでもあるのですが。マトンは英語、ムートンはフランス語ということなのでしょう。
フランスでのムートンは、ブルターニュ産が珍重されるんだそうですね。「ムートン・ド・プレ・サレ」。ここでは海に面した牧草地があって、羊ちゃんがのびのびと育てられていた。要するに潮風を含んだ牧草を食べて、育つ。で、かすかに海と塩の風味が感じられるんだとか。
シャルル・アズナブールがお好きだったのが、「ラグー・ド・ムートン」。これはムートンとポテトで煮込みに煮込む料理。と、ムートンとポテトが一体渾然となりまして、とろーり。また、ジュリエット・グレコの大好物でも。
もし、シャンソンが上手になりたいなら、「ラグー・ド・ムートン」をたくさん召し上がるに限ります。
ムートンが出てくるミステリに、疑惑の果て』があります。1988年に、カトリーヌ・アルレーが発表した物語。

「キャシーがそれまで一度も味ったことのないマトンのシチューをこしらえてくれた。」

キャシー・フォンテーヌは、作家のノエルの秘書という設定作ってくれたのは、別荘の料理人、ジャンヌ・マクルー。また、『疑惑の果て』には、こんな描写も。

「ノエルはキャシーに長靴と古いジーンズと、カナダで買ったチェックの上着とを貸した。いずれもぶかぶかで、キャシーは袋の中で泳いでいるようだった。」

「カナダで買ったチェックの上着」。私の勝手な妄想ですが、もしかしてマッキノーではないでしょうか。少なくともこの一行で「マッキノー・コート」を想ったことであります。
マッキノー・コートを着て。北海道にジンギスカンを食べに行きたいものですね。

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