三階と三糎

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三階は、二階の上の階のことですよね。四階の下の階。いうまでもないでしょう。
でも、日本とフランスとでは階の数え方が違うんですね。異国の建物の三階にいて。「ここは三階ですよね」というと、ノン。「二階だ」という。何度数えても三階なのに、「二階」。
どうして三階が二階になるのか。「一階」を一階と数えない。レドショッセ。で、実際には二階が、「プルミエール・エタージュ」に。
なぜか。十九世紀以前のヨオロッパでは、一階は厩だった。人の住まいは二階から上。つまり厩を勘定に入れないので、違ってくるのも当然でしょう。
今、自動車愛好家が、寝室の隣に車庫を置くのに、少し似ているのかも知れませんが。とにかく馬は貴重な移動手段だったわけですね。
馬はなかなか利口者なんだとか。むかし、エリザベス朝の時代。「バンクス」という馬上手がいたんだそうですね。1590年頃の話なんですが。
バンクスの愛馬が、「モロッコ」。バンクスは「モロッコ」を教育して、とてもお利口なお馬に。
たとえば。バンクスが「モロッコ」に硬貨を見せる。仮に五ペンスなら、正確に五回足踏みをして、その数字を伝えたという。
1608年に、バンクスは「モロッコ」を連れて、巴里へ。巴里ではこの藝がたいへんな人気になって。やがて警察官がやって来て。「イカサマだ!」。逮捕されそうに。そこで、バンクスは「もう一度だけやらせてほしい」と。
「この観衆の中に十字架をつけた男をモロッコに探し出させるから」。モロッコは大勢の観衆の中に、帽子に十字架をつけている男を発見。モロッコはその十字架の前にひざまづいて、十字架にキスを捧げたという。
さすがに警察官もモロッコが魔物ではないことを認めざるを得なかったそうです。
えーと、三階の話でしたね。1929年の舞台に、『三階の殺人』というのがあったんだそうですね。この『三階の殺人』に出演したのが、ロオレンス・オリヴィエ。ロオレンス・オリヴィエは、1907年5月22日。イギリスに生まれた英國人俳優。
1929年には『三階の殺人』のニュウヨーク公演。

「私たち一同は忠実にアルゴンクィンに泊まった………………」。

ロオレンス・オリヴィエ著『一俳優の告白』に、そのように書いています。その時代、ロンドンからニュウヨークに行く役者は、アルゴンクィン・ホテルに泊まるのが、習慣になっていたんだとか。ロオレンス・オリヴィエの部屋が何階だったかまでは知りませんが。
ロオレンス・オリヴィエの好みとして、シャツの袖口を多く見せるのが、好きだった。
ふつう日本では、「一センチ」ということが多い。ニュウヨークでは、「一インチ」とすることが一般的になっています。でも、法律で決まっているわけではなありません。
要は、上着の袖口が汚れない長さであれば、良いのです。が、上着の袖口からカフが覗かないのは、着こなす違反であります。
ところがロオレンス・オリヴィエは少なくとも三糎ほど見せるのがお好きだった。第一、カフの幅を広く仕立てていたのですが。

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