薔薇とハット・ピン

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薔薇は、ローズのことですよね。赤い薔薇の花言葉は、「愛」なんだそうです。深い赤の薔薇は、「羞じらい」。白薔薇は、「純潔」。
でも、どうして薔薇には、赤薔薇と白薔薇とがあるのでしょう。
十四世紀の英国の作家、ジョン・マンデヴィルは『東洋奇譚』の中で、こんなふうに説明しています。

「昔むかし、ジラーという美しい乙女がいて。ハムエルという無頼漢に想いを寄せられて、お断り申し上げる。と、ハムエルは言った。
「ジラーは魔女なり」
そこでジラーは火炙りの刑に。これを憐れんだ神は、ひを消し止めた。その跡から。
火がついている薪から、赤い薔薇が咲いたという。まだ火のついていない薪からは、白い薔薇が。

紅白しぼりの薔薇を、「ヨーク・アンド・ランカスター・ローズ」と言います。英国、三十年戦争の結果、ヨーク家とランカスター家とが仲なおりしたので。両家の紋章がひとつになって。

「………はまなす、長春、ろうざ、白長春………」

江戸期の古書『花壇地錦抄』に、そのように出ています。これは当時の着物の柄として。ここでの「ろうざ」は、ローザ rosa
のことかと思われます。着物における薔薇の模様にも古いものがあるのでしょう。

『薔薇刑』は、写真集の題名です。写真家、細江英公が、平成二十七年に出した写真集。一冊六万円という立派なお値段がついています。発行は、「丸善」。モデルは、三島由起夫。

「薔薇は、世界中の大多數の人間が脳裡に抱いてゐる薔薇といふ一般的概念をはじめ………」

三島由起夫は、『薔薇刑』の序文に、そのように書きはじめています。

薔薇が出てくるミステリに、『ダブル・ダブル』があります。1950年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。

「前庭の芝生を通ると、ハリイ・トイフェルがばらの手入れをしているところだった。
『ダブル・ダブル』には、こんな描写も出てきます。

「エミリーン・デュプレはハットピンのような女性だった。」

なぜなら、時に「刺す」から。
ハット・ピン hat pin は婦人帽を頭に留めておくための小道具。
男物の、ネクタイ・ピンによく似ています。
レディーの場合、ハット・ピンがあるからこそ、より大胆な傾け方ができるのです。
どなたか男性用のハット・ピンを作って頂けませんでしょうか。

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