ドンゲンとドスキン

ドンゲンは、人の名前にもありますよね。
たとえばフランスで活躍した画家の、ヴァン・ドンゲンだとか。
ヴァン・ドンゲンの本名は、コルネリス・テオドルス・マリイ・ファン・ドンゲン。
1877年にオランダに生まれています。
ヴァン・ドンゲンは十歳の頃から絵を描くのが、好きだった。
1895年、十八歳の時に描いた『青の自画像』は、今、パリの「国立近代美術館」所蔵となっています。
1894年。ヴァン・ドンゲンはロッテルダムの美術学校に進んで。
1897年、お父さんから大きな贈物が。
その贈物は、巴里旅行だったのですね。
ヴァン・ドンゲンが夢にまで見た巴里が。

「巴里は私を燃えるように惹きつけた。」

ヴァン・ドンゲンは後にそのように語っています。
巴里で描いた代表作のひとつに、『ジャスミー・ジャコブの肖像』があります。
ジャスミー・ジャコブは当時有名だった洋装店の女主人。1919年の作。現在は「国立近代美術館」に納められているのですが。
巴里に出たヴァン・ドンゲンの絵がすぐに売れたわけではありません。一時は、ピカソのアトリエで寝起きする時代もあったという。1906年の頃には。
その時代のヴァン・ドンゲンは、一枚の絵を100スーで売ったこともあったらしい。
ヴァン・ドンゲンもまた長寿の画家で。
1968年、九十一歳で世を去っています。
ヴァン・ドンゲンが出てくる小説に、『アスコットの帽子』があります。昭和四十五年に、中村真一郎が発表した短篇。

「ヴァン・ドンゲンなどのエコール・ド・パリの影響が強い絵だってことは判るけどね」

そんな会話が出てきます。
また、『アスコットの帽子』には、こんな会話も。

「あなたはN劇場のホワイエに、サマー・ドスキンのダーク・スーツで人の群れに立っていたわ。とても立派に見えた。」

これはある少女の言葉として。
「ドスキン」は、日本語。英語では「ドゥスキン」
doeskin 。
「雌鹿の革」の意味なのです。
緻密なウール地。昔はよく礼装服にも用いられたもの。
どなたかドスキンのスリーピース・スーツを仕立てて頂けませんでしょうか。