カルヴァドスとカッターシャツ

カルヴァドスは、アップル・ブランデーのことですよね。

リンゴをもとににした酒なので、アップル・ブランデー。

リンゴから造る酒に、シードルがありますね。発泡製の軽い酒。

このシードルをさらに蒸留いたしますと、カルヴァドスになるわけです。

carvados と書いて「カルヴァドス」と訓みます。

北フランスのカルヴァドス村で造られるので、「カルヴァドス」。

その地域以外は、アップル・ブランデーとなります。

カルヴァドスは蒸留酒ですから、強い。少なくとも40度はあるでしょう。食後酒には向いているのではないでしょうか。

戦後まもなく日本で公開された映画が、『凱旋門』。この原作が、レマルクの小説『凱旋門』なんですね。

小説にも映画にも、カルヴァドスが出てきます。

場所は戦時中の巴里。男と女が出会って、酒場で飲むのが、カルヴァドス。

日本にカルヴァドスを流行らせたのが、『凱旋門』だったのは、まず間違いないでしょう。

「彼は給仕に合図した。「カルヴァドスをもう二つ。大きいのにしてくれ」」

レマルクの『凱旋門』には、何度もそんな場面が出てきます。

カルヴァドスが出てくる小説に、『りんご酒と嘆きの休暇』があります。

2011年に、アレキサンダー・キャンピオンが発表した物語。

葉巻型の小さなサンドイッチが二種類。具はそれぞれスモークサーモン、パルマハムとモルビエ・チーズ。そしてなくてはならないカルヴァドスは小さな瓶に入っている。」

そんな一節が出てきます。

著者のキャンピオンは、パリに住んでいるアメリカ人なのですが。

これは土曜日にきのこ狩りに行く時のランチの用意として。

野原で味わうカルヴァドスも乙なものでしょうね。

カルヴァドスが出てくる小説には、『女後継者』もありますね。

イギリスの、バーバラ・T・ブラッドフォードが2005年に発表した長篇。

「急いで帰ってしまったね。中に入ってお酒でも飲んでもらうつもりだったのに。彼は上質のカルヴァドスが好きなんだ。」

これは「ローン」の言葉として。

また、『女後継者』にはこんな描写も出てきます。

「黒のスーツに白のカッタシャツという装いだった。」

これは「ジャン・クロード」の着ている服装として。

日本語訳者は、伊庭摂子、庄司由美の共訳。

「カッターシャツ」は、日本語。

もともとは「美津濃」(今のミズノ)の商標名。

水野利八が考案した名称。

一般に関東では、「ワイシャツ」。関西では「カッターシャツ」が多く用いられる傾向にあります。

どなたか白絹のカッターシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。