フェリックスとブート二エール

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フェリックスで、音楽家でといえば、フェリックス・シューベルトですよね。
あのシューベルトもまた天童だったようです。だいたいモオツアルトをはじめ、音楽家には天才がつきものみたいですが。シューベルトは天才に加えて、場所。1799年、ウィーンに生まれています。ウィーンは今も昔も音楽の都ですからね。
フェリックス・シューベルトは1803年に、お父さんからヴァイオリンを習っています。ほぼ同時に、お兄さんからピアノを。フェリックスが六歳の時。
六歳の男の子に、ヴァイオリンとピアノを習わせる。それはまあ、ないでもありません。が、フェリックスはたちまちそれを、習得。これはもう天童の他に言葉が見つかりませんね。
1812年といえば、フェリックスが十五歳の時。この頃、フェリックスはすでにアントニオ・サリエリの教えを受けていましたし、寄宿生活をも。その頃、お兄さんに宛てた手紙が遺っています。

「兄さんも経験して知っているように、誰でもたびたびロールパン一個とリンゴの二、三個くらいは食べたくなるものだ。………………。」

以下、連綿と綴っています。要するに、寄宿舎の食事が質素だった、と。分かります、分かります。十五歳は、育ち盛り、食べ盛り。いくらでも。食前食後に食事ができるほどに。
でも。シューベルトは空腹に耐えながら、あの美しい曲を創ったのですね。
フェリックスが出てくる小説に、『夜の森』があります。ジューナ・バーンズが、1936年に発表した物語。ただし物語の時代背景は、1880年代に置かれているのですが。

「フェリックスは、前かがみになって、申し訳なさそうに、しかしいらいらと続けた。」

フェリックスはフェリックスでも、小説の主人公、フェリックス・フォルバインのことなのですが。また、『夜の森』にはこんな場面も出てきます。

「ある晩、パリのサン・ミッシェル通りをきょろきょろしながら歩いていると、ボタン穴に赤いカーネーションをつけている男が目にとまった。」

もちろん、ブート二エールのことでしょう。今も昔も、カーネーションはブート二エールによく使われますよね。
さて、時にはブート二エールを挿して、シューベルトを聴きに行くといたしましょうか。

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