ソックスとソリッド

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ソックスは、靴下のことですよね。それも短い靴下。長靴下には「ホーズ」があります。たいていは踝が隠れるくらいの、ふくらはぎを覆うくらいの長さのものをソックスと呼びます。
socks と書いて「ソックス」。ソックスはラテン語の「ソックス」soccus
から来ているんだそうですね。古代ロオマの喜劇俳優が舞台で履いた上履きのこと。ここから今の「ソックス」が生まれているとのこと。
古い時代の日本では、「靴足袋」の言い方もあったらしい。

「五百助の越後上布を直してこしらえた、ワンピースを着て、足も、白いソックスをはいただけだった。」

獅子文六が1950年に発表した小説『自由学校』に、そのような一節が出てきます。これは「駒子」の着こなしとして。白いソックスはお気楽な恰好だったのでしょう。
白いソックス。アメリカには、「ボビー・ソクサー」の言い方があります。ボビーは「短い」の意味。
「ボビー・ソクサー」は、若い、流行に敏感な女の子。つまりはティーン・エイジャーのことです。アメリカ英語としては、1943年頃から用いられているそうですね。
靴下をロンドンで買う話。1967年に、吉田健一が。
吉田健一の随筆『ロンドン訪問記』に出ています。

「それから毛の靴下を三足買った。」

そんなふうに書いています。ロンドンの、ジャーミン・ストリートで。店の名前は、「シャツ・メイカー」。もちろんシャツの専門店なのですが、洋品類をも並べてある店。
吉田健一はざっと十年ぶりに「シャツ・メイカー」を訪ねて、ブレイシーズやネクタイを買い求めています。
吉田健一がお好きだったものに無地があります。紺無地のスーツに、紺無地のネクタイだとか。
柄物には柄物の良さがあります。同じように無地には無地の良さがあるはずです。
無地。「ソリッド」solid 。無地はあらゆる柄物の中でもっとも神秘的な柄ではないでしょうか。
どなたか神秘的なソリッドのスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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