ホノルルとポケット

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ホノルルは、ハワイの街ですよね。「ホノルル・マラソン」でも有名な所でしょう。
昭和二十五年に、ホノルルを旅したお方に、今日出海がいます。

「紅地に鶴が飛んでいたり、兎も角赤い強烈な色気のものを白髪の大学教授や商館の重役などが平気で着ている。」

今日出海は、紀行文『ハワイ雑感』に、そのように書いてあります。もちろん、アロハ・シャツについて。昭和二十五年のハワイでは、アロハ・シャツはごく常識的な服装だったものと思われます。
昭和三十二年にホノルルへ赴いた作家に、阿川弘之がいます。紀行文『ホノルルまで』に詳しく書いています。

「朝七時には、ホノルルが眼の前に見えて来た。」

そのように書いてあります。船好きの阿川弘之は、横濱から船で、約一週間かけてホノルルに向かっているのです。阿川弘之は戦争中、海軍にいたからでしょうか。
阿川弘之には、『小泉さんと海軍』があります。

「………小泉さんはその場面を読んでしばし巻をおほつたといふ意味のことを手紙の中に書いて下さつた。」

ここでの「小泉さん」は、小泉信三のことなのですが。
その頃、阿川弘之は小説『春の城』を書いて。その中に、戦争中、海軍士官が戦死する場面がって。ために未知の小泉信三に一冊を送った。まさか返事をもらえるとは思っていなかったでしょう。ところが、丁寧な礼状が来て。戦死場面では涙を流した、そんなことも書いてあったという。
小泉信三もまたご子息を海軍で戦死させているので。
当時の海軍には、ポケットがなかったそうですね。もう少し詳しく申しますと。ズボンの左右の脇ポケット口は縫いつけられていた。つまり、手をポケットに入れないように、と。
手をポケットに入れるのだらしない、そんな考えがあってのことでしょう。
ことに両手をポケットに入れると、姿勢が悪くなります。背中も丸くなって。
スーツを着るにも背中を丸めてはいけません。仮にポケットはあっても、両手を差し込むのはおすすめいたしません。
どなたかポケット口の美しいトラウザーズを仕立てて頂けませんでしょうか。

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