ルネとスーツ

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ルネときて画家とくれば、ルネ・マグリットでしょうね。
ルネ・マグリットはまた、山高帽の男を多く描いた画家でもあります。ルネ・マグリットは山高帽をたくさん描いただけでなく、ご自分もボウラーの愛用者だったのです。
ルネ・マグリットの絵は不思議な世界に誘われてしまう絵ですよね。あのマグリットの絵は自宅のキッチン脇で描かれたという。ルネ・マグリットは専用のアトリエに籠る画家ではなかったのです。自宅のキッチンにイーゼルを立てて、描いた。シャツにタイを結ぶ、スーツを着て。それでちっとも服を汚すことがなかったそうです。
ルネ・マグリットが1941年に描いた絵に、『恐怖の同伴者』があります。この『恐怖の同伴者』の題は、ミステリの『腰抜け連盟』に出てくる一節から得たものだとか。『腰抜け連盟』は、レックス・スタウトの物語ですね。もしかすればマグリットはミステリがお好きだったのかも。少なくともレックス・スタウトの小説に目を通しているのは、間違いでしょう。
レックス・スタウトが1951年に発表した物語に、『編集者を殺せ』があります。もちろん美食探偵の、ネロ・ウルフが活躍するミステリ。この中に。

「卵を食べ終えて、締めくくりに取りかかっていた。ホットケーキをバターでなく、タイムの蜜をたっぷりかけて食べるのだ。」

もちろんネロ・ウルフの朝食の様子なんですね。また、こんな描写もあります。

「ウエルマンは例のグレーのスーツもしくはそれとそっくりの別のスーツ姿で、それとなく女性たちを観察していた。」

ジョーン・ウエルマンは、編集者という設定。「私」は、それが同じスーツであるのかどうか、気になって仕方がない。「私」とは、ネロ・ウルフの助手、アーチ・グッドウインのことなんですが。
たぶん、ウエルマンは同じようなグレイのスーツを何着も持っているのでしょう。自分のスーツのテーマを決めておくのも、優雅なことですね。

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