食堂と背広

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食堂は食事をする場所のことですよね。でも、ふつうの家ではあんまり「食堂」とは言いませんが。
また、一方でレストランとも違う。レストランはレストランで「食堂」ではしっくりとはこない。なにか大きなホールのようなところにこそ、「食堂」が似合う。たとえば、「学校食堂」とか。略して、「学食」。
子どもの頃。家の近くにX大学があって、よくその食堂に食べに行ったものです。子どもにとっては量も多く、値段も安かった記憶があります。
食堂とファッションもまったく関係がないわけでもありません。アメリカの軍隊では食堂のことを、「メスルーム」と呼ぶんだそうですね。メス mess は俗語で、「食事」のこと。盛夏に食堂で着たのが、「メス・ジャケット」なのです。あんまり暑いので、しっぽを切り落としたわけですね。
柴田 翔の小説に、『食堂の話』があります。それは、こんな風に書きはじめられるのですが。

「私たちの大学には、学生食堂がふたつあった。南食堂は正門近く、銀杏並木に面した………」。

これはおそらく、東京大学のことではないかと、思われるのですが。柴田 翔は東大で学び、のちに東大の教授になったお方ですから。柴田 翔には、『われら戦友たち』の小説もあります。この中に。

「瀟洒な麻の夏背広のポケットから白いハンカチをのぞかせ…………」。

これは、飯森重猛という名前の、若い大学教授という設定。麻の背広に、白いハンカチ。一度、そんな着こなしをしてみたいものですね。

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